新型SUV「フロンクス」を発表するスズキの鈴木俊宏社長＝16日午前、東京都中央区（酒井真大撮影）

スズキは16日、新型の小型スポーツタイプ多目的車（SUV）「フロンクス」を発売したと発表した。インドの生産拠点から70カ国以上に展開し、各国で高い評価を獲得しているという世界戦略車を日本仕様に最適化した。同日記者会見した鈴木俊宏社長は国内に「満を持して投入する」と述べ、商品力に自信を示した。 【ランキング】自動車の世界販売トップ10（2024年上半期） フロンクスは排気量1・5リットルで、エンジン走行を支援する「マイルドハイブリッド」を搭載し燃費性能を高めた。二輪駆動（FF）に加え、日本専用仕様として四輪駆動（4WD）も設定。価格はFFが254万1000円、4WDが273万9000円。 狭い路地も運転しやすく、立体駐車場にも対応するコンパクトサイズながら、設計の工夫で後部座席にもゆとりのある室内空間を実現。交差点での歩行者や自転車の検知にも対応する衝突被害軽減ブレーキや車線維持機能、ペダル踏み間違い時の加速抑制機能など最新の予防安全技術も標準装備した。 スズキはインド市場でトップシェアを握っており、同国の生産拠点を利用した海外への新車展開は量産効果が大きい。SUVは日本の新車市場（登録車）で最も販売台数の多い激戦分野で、ホンダもインドでの生産・販売車種をベースにコスト競争力を高めた小型SUV「WR―V」を国内投入している。 ただ、鈴木社長は「（インドから日本へ）単純には持って来られない」と話す。インド新車市場は成長性が高く、現地需要への対応に伴い生産を輸出に振り向けるのが厳しい面もあるためだ。スズキにとって、今後の商品競争力の強化に向けた海外生産拠点の活用法は重要な経営課題になる。