【必殺シリーズ】俳優インタビュー本『談義』著者が明かす「取材の裏の裏」
京都映画スタッフへの取材
――京都映画(現・松竹撮影所)スタッフへの取材の感想をお聞かせください。何か新たな発見・気づきなどはありましたでしょうか。 高鳥 みなさん、これまでの本にご登場いただいたので「もう話すことないで~」とか言いながら、どんどん新しいエピソードが出てきましたね。やはり組み合わせを変えることでの化学反応が大きく、3組ともおもしろかったです。 特にプロデューサーの櫻井洋三さんと脚本家の保利吉紀さんはお互い90代でお元気という……まるで漫才のように「あぶない話」がポンポン飛び出してました。 石原興さんと林利夫さん、藤井哲矢さんと都築一興さんと皆元洋之助さんの座談会は同じ日に撮影所で行ったのですが、全員が久しぶりに再会して、まるで『七人の侍』のような記念写真も誌面のいいアクセントになったと思います。 ――新刊に先駆けて、「高鳥都の必殺本まつり」が全国56の書店で展開中です。 高鳥 この2年で立東舎、かや書房から5冊の必殺本が出まして、6冊目となる新刊の宣伝も兼ねて共同フェアをしようという話になりました。それぞれのお店でコーナーの見せ方も違っていて、新宿の紀伊國屋書店さんや神保町の書泉グランデさんにお邪魔しましたが、ありがたいですね。やはり本を出したからには「売る」ことも大事だと思うんです。 特典のクリアファイルは『必殺仕置人』全26話のサブタイトルを載せたもので、これ2クールのドラマやアニメなら何でも流用できるフォーマットなので、ぜひ流行ってほしいですね。 ――最後に今回の仕事を通じて改めて感じた「必殺シリーズ」の魅力、そして著者お薦めの本書の注目ポイントについてお聞かせください。 高鳥 改めて思ったのですが、「必殺シリーズ」の主人公は基本的にアウトローで、権力や後ろ盾のない存在です。将軍や副将軍みたいな偉い人が世を忍ぶ仮の姿で庶民と触れ合うのではなく、ずばり庶民そのもの……藤田まことさん演じる中村主水だって、役人とはいえ下っ端で権力の理不尽を味わっている。 今回ご登場いただいたみなさんが演じた役もほとんどが庶民で、だからこそ殺しのシーンや光と影の表現も映えるし、時代劇の中で「必殺シリーズ」が好きなんだなと実感しました。 それから、いま自主映画の『侍タイムスリッパー』が大ヒットしていますよね。時代劇のバックステージもので東映京都撮影所が全面協力した映画ですが、照明技師として『必殺シリーズ始末』にご登場いただいた、はのひろしさんも参加しているんです。安田淳一監督のこだわりでしょうか、メリハリの強いライティングや望遠のカメラアングルは往年の京都映画風なんです。 NHKの朝ドラも『オードリー』に続いて『カムカムエヴリバディ』と京都の撮影所を舞台にした作品の再放送が決まりましたし、わが新刊もふくめて時代劇の裏側に光が当たり、それが表にまで反映されるといいなと願っています。 高鳥都(たかとり・みやこ) 1980年生まれ。2010年よりライターとしての活動をスタート。著書に『必殺シリーズ秘史 50年目の告白録』『必殺シリーズ異聞 27人の回想録』『必殺シリーズ始末 最後の大仕事』『あぶない刑事インタビューズ「核心」』、編著に『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』『必殺仕置人大全』があり、『漫画+映画!』ほか共著多数。
アニメージュプラス 編集部