【必殺シリーズ】俳優インタビュー本『談義』著者が明かす「取材の裏の裏」
1972年より15年にわたってレギュラー放送された、金をもらって恨みを晴らす殺し屋たちが主人公の時代劇ドラマ「必殺シリーズ」。今なお絶大な人気を誇る本シリーズの魅力を、ライター・高鳥都による関係者への徹底取材で深掘りする書籍シリーズ第4弾『必殺シリーズ談義 仕掛けて仕損じなし』(立東舎/以下『談義』)が発売中だ。 【関連画像】特典クリアファイルと『必殺シリーズ談義』の中を少し見る!(8枚) 今回は『必殺仕掛人』から『必殺剣劇人』までに出演した俳優陣15名のロングインタビュー、さらにシリーズを支えた京都映画(現・松竹撮影所)のスタッフ座談会で構成されている。著者である高鳥氏に、本書完成に至るまでの道のりや裏話を語っていただいた。 ――前作『必殺シリーズ始末 最後の大仕事』でピリオドを匂わせておきながら、今回シリーズ第4弾がリリースされる運びとなった経緯をお聞かせください。 高鳥 「最後の大仕事」と銘打ったのに、あとがきで第4弾をやりたいと書いたのですが、ありがたいことに読者の方々の反響が大きく、シリーズ継続となりました。これまでの3冊すべて重版という売れ行きも大きいと思います。 ――今回はシリーズのキャスト15名をメインに据えたインタビュー集となりました。前3冊とは違う狙いがあったと思いますが、その辺りをお聞かせください。 高鳥 これまでスタッフ中心のインタビューを行ってきて、第4弾もその想定だったのですが、ほかの出版社がやるべきだと思っていた俳優インタビュー集がなかなか動き出さないので、こちらから先に仕掛けることにしました。 ある種のパターン外しというか、企画としてはキャストこそが王道なので、書籍のシリーズとしてメリハリがついたと思います。 ――取材対象のセレクトに関してのこだわりはどのようなものがありましたか。また取材の仕方や訊き方などで意識したことはありましたか。 高鳥 まずは自分が話を聞いてみたい方々、それから歴代シリーズで「殺し屋」側のレギュラーを演じた俳優さんに絞りました。スタッフと違って俳優は取材慣れしていてインタビューの機会も多く、鉄板のエピソードを持っているのでそこをいかに掘り下げていくか、新たな話を引き出すことができるかに全集中しましたね。 内心は必殺ファンとして興奮の連続でしたが、あくまで淡々と取材をしたつもりです。奇しくも『必殺仕掛人』から『必殺剣劇人』までの15年、15名というぴったりの数字に収まりました。 ――キャスト15名の取材をしてみての感想をお聞かせください。インタビュー時に感じた人柄や飛び出した意外なエピソードなど、特に印象的だったことなどはありましたか。 高鳥 みなさん思い出深いのですが、近藤正臣さんは現在、岐阜県の郡上八幡にお住まいで川沿いのご自宅までうかがいました。「こんな話でええんかなぁ」と何度も苦笑されていて、たしかに「必殺シリーズ」と関係ない話も多いのですが、京都の撮影所でエキストラをやっていた下積み時代からの貴重なエピソードがうかがえたと思います。 もう15年ほど前ですが20代のころ、たまたま西田敏行さんに『特捜最前線』の高杉刑事のお話をうかがったことがあるんです。それは本当に偶然で何かに残すようなものではなく、だからこそ今回は林与一さんからかとうかず子さんまで、15名の長いインタビューを活字で残せたことに意義を感じています。