イスラエル、シリア軍基地を空爆 ダマスカス近郊への進軍は否定
Maya Gebeily Michelle Nichols [ダマスカス/ニューヨーク 10日 ロイター] - イスラエルは10日、シリア軍基地を攻撃した。武器が敵の手に渡らないようにするための攻撃としているが、国境の非武装緩衝地帯を越えてシリアに進軍したことは否定した。 シリア治安当局筋によると、イスラエル軍が首都ダマスカスの南西約25キロメートルまで進軍。イスラエル軍は非武装地帯からシリア領内に10キロ入った地点にあるカナタまで達したという。 一方、イスラエル軍は緩衝地帯から部隊は離れていないとした。 イスラエルは占領地であるゴラン高原のシリアとの緩衝地帯に部隊を展開し、シリア軍の装備が敵の手に渡らないよう基地を空爆した。シリアの新政権との衝突は望まないとし、緩衝地帯を管理下に置いたのは防衛策としている。 エジプト、カタール、サウジアラビアはイスラエルの侵攻を非難した。サウジは「シリアが治安を回復するチャンスを台無しにする」と指摘した。 <拷問の責任問う> 崩壊したシリア・アサド政権への攻勢を主導したシャーム解放機構(HTS)は、国民への拷問に関与した治安当局者や軍将校の責任を問う方針を示し、「犯罪者や殺人者」のリストを公表するとした。 アサド政権のジャラリ首相は9日、北西部の反体制派支配地域を拠点とする「救国政府」に権力を移譲することで合意。政権移譲には数日かかると述べた。 アルジャジーラTVによると、暫定政権のトップは救国政府を率いるムハンマド・バシル氏になる見通し。 一方、シリアでは秩序回復の兆しも見えてきた。銀行が10日に再開するほか、石油省は石油部門の全従業員に対し、安全を確保するとして、同日に出勤するよう呼びかけた。