日本人がなぜか知らない老舗ランニングシューズ「ブルックス」 米国のラン専門店でシェア1位
「日本では一般ランナーも
速さを追求する」
振り返れば23年3月に、東京マラソンの視察に訪れていた「ブルックス」のR&D担当者に会った際も、「東京マラソンでは、一般ランナーもスピード志向の厚底カーボンシューズを履いていて驚いた」と話していたのが印象的です。「ブルックス」は米国の一般ランナーに向けて安全に楽しく走れるシューズを開発してきた結果、スピード志向の日本市場とやや合っていなかったということですね。
2つ目の理由としてジャスティンさんがあげていたのが、「日本はスニーカーを、ライフスタイルやファッションの文脈で捉える傾向も強い」という点。安全に走れるシューズを無骨に追求してきた結果、ファッションとして履ける街履きスニーカー開発が「ブルックス」は遅れていました。競合のアシックスを例にとれば、同社も数年前までは無骨にパフォーマンス用途のシューズを追求する企業のイメージが強かったですが、今やファッション文脈でも支持されるように様変わりしています。
以上がジャスティンさんが語った日本市場での課題2つですが、実はどちらも動きがあるんです。1つ目の課題については、「ブルックス」はスピード志向のシューズの開発や速さにフォーカスしたマーケティングを既に始めています。“ブルーライン”と呼ばれるチームがアスリートの声を生かした製品開発を担い、その結果24年の箱根駅伝では、なんと全230人の出場選手の中で1人、「ブルックス」着用者が出ました。25年の箱根でも着用者が出るかどうかは選手の選択によるので現段階でなんとも言えませんが、スピードシューズの最新モデル“ハイペリオン エリート 4 PB”(3万5200円)は、箱根の復路の翌日、25年1月4日に国内発売予定です。
「サタデーズNYC」コラボは
「米国で大きな反響」
そして2つ目の「街履きとしてのファッションスニーカー」ですが、こちらは11月に、「サタデーズ ニューヨークシティ(SATURDAYS NYC)」とのコラボシューズ(2万4200円)を発売済み。ファッションスニーカーの文脈において、コラボの重要性は言わずもがなですね。「ブルックス」のアイコンのランニングシューズ“ゴースト”をベースにしたコラボスニーカーは、インラインではなかなか見ない落ち着いた色合いのニットアッパーがおしゃれな雰囲気。「サタデーズ ニューヨークシティ」は国内ではジュンが事業を手掛けていますが、元々はニューヨークのセレクトショップであり、オーストラリアにも店舗があります。米豪日で発売したこのコラボモデル、特に本国のニューヨークでは「非常に反響が大きくて、すぐに売り切れていた」と、ジュンのブランド担当者は話していました。