カスハラアンケート 山形県内4人に1人が「経験ある」 場合によっては強要罪や脅迫罪に
山形放送
顧客からの過剰な要求や悪質なクレームなどを受ける「カスタマーハラスメント」、いわゆる「カスハラ」は山形県内でも対策に乗り出す企業などが増えています。番組では、YBCアプリで「カスハラ」を受けたことがあるかアンケートを実施しました。 アンケートには1078人の方に回答していただきました。 集計の結果、「カスハラ」を受けたことが「ある」と回答した人は268人で、「ない」と答えた人は810人でした。アンケートに回答した方の4人に1人が「カスハラ」を受けた経験があるという結果になりました。 「ある」と回答した268人のうち女性は142人、男性が97人で、女性の割合が上回りました。 「ある」と答えた人に寄せていただいた具体例を紹介します。 運送会社に働いていたという白鷹町の30代の女性からは『客から「荷物が時間になっても届かない」と、電話で延々と説教を受けました。原因は私ではないのに心無い言葉を浴びせられ最悪の気持ちに。仕事は転職しました』といった声が寄せられました。 また、営業職をしているという東根市の30代の女性は『まさに今カスハラを受けています。顧客に「お前」呼びされ、追い詰めるように話された。職場に言っても解決しないので現在、仕事を辞めようか迷っています』といった声が寄せられました。アンケート結果からはカスハラが仕事を辞める要因になっていたり、仕事を変える理由にもつながっていたりすることがうかがえます。 カスハラ客への対策については業界によってさまざまで、▼接客時に男性職員を配置する▼ドライブレコーダーを装備して態度がひどい客に降りてもらう といった対応が寄せられました。 民間の信用調査会社帝国データバンク山形支店がことし6月に行った調査では、県内でカスハラへの対策や取り組みを行っているという企業は全体のおよそ54%でした。半数近くの企業で対策が講じられていないのが現状です。警察は「カスハラ」は犯罪につながる可能性もあるとしています。 山形警察署生活安全課・藤田周平警部補「土下座しろとか、義務のないことを行わせる。謝罪文書けなど、強要罪なので、警察に通報していただければ。警察の方もお店の負担にならないように対応しますので、遠慮なく通報してもらいたい」 こちらは犯罪に該当する可能性のある行為の一例です。 ▼「土下座しろ」など謝罪を強要する行為は強要罪、 ▼SNSなどで写真や個人情報をさらすなどして相手に要求する行為は脅迫罪、 ▼長時間店に居座るなど業務を妨害する行為は威力業務妨害罪。これらの犯罪に該当する可能性もありますので、店側が対応に困った場合は躊躇せず警察に通報してほしいとしています。 厚生労働省は11月、「カスハラ」にあたる要件について、 ▼顧客や取引先、そのほかの利害関係者が行うこと ▼社会通念上、相当な範囲を超えた言動であること ▼労働者の就業環境が害されることの3つの要素を満たすものとした上で、企業側に対策に取り組むことを義務化する方針案を審議会で示しています。 カスハラ問題に詳しい県内の繊維業や流通業などの労働組合で構成する「UAゼンセン県支部」の出利葉康隆支部長は、「カスハラは業種によって傾向や対策が異なるため、企業の特性に応じたマニュアル作りや従業員を守るためのスキルの習得を企業側が進めることが大切」だと話しています。