小澤芥斗が4発!秩父農工科学、いずみを下し2回戦へ
第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選の1次予選は8月24日、所沢航空公園サッカー場で合同9チームを合わせた126チーム(138校)が参加して開幕し、2ブロックの1回戦2試合が行われた。31ブロックの各勝者が、全国高校総体王者の昌平や同予選準優勝の西武台などが登場する決勝トーナメント(10月13日開幕)に進む。 【フォトギャラリー】秩父農工科学vsいずみ B組の秩父農工科学といずみの一戦は、秩父農工科学が5-2で快勝し、8月28日の2回戦でシードの大宮東と対戦する。 4-4-2の陣形を取る秩父農工科学は、中盤で丁寧にボールを通わせるとサイドからスピード豊かな攻撃を展開。序盤からボールを握る回数が多く、主導権を握った。 技術と速さを併せ持ち、シュート力も抜群な小澤芥斗(3年)が、トップ下で攻めの陣頭指揮を執った。1年生から背番号10を着用し、チームの大黒柱らしい活躍を見せた小澤が、4ゴールをものにした。 まず前半6分、右サイドで右SB関根大羽(1年)のパスを預かると、相手GKのポジションを確認して強烈なシュートを突き刺した。17分にも惜しいシュートがGKの正面を突いて好機を逸した。しかし27分には、右MF金室佳樹(3年)のパスから思い切りよく右足を振り抜き、勢いのあるシュートがDFに当たってゴールイン。 ハットトリックを完成させた28分の3点目は、技術と判断力の高さを示した得点だ。左サイドでボールを受けると、相手DFにマークされながらもニアにいたGKの位置をしっかり見極め、右足アウトサイドでファーポストに流し込んだのだ。 エースは開口一番、「後半に走れなくなったことを反省したい」と個の手柄を差し置き、運動量が落ちてチームに最大限の力を貸せなかった課題から切り出した。それでもハットトリックに話題が及ぶと頬がだんだんと緩み出し「最初からシュートを打って先に点を取ることだけを考えていました」と、先制してチームを勢いづかせることが目標だったと話した。 秩父農工科学は後半に入っても攻めの姿勢を崩さず、7分に左MF塩谷心(2年)が中央から鋭い弾道の一撃を放つと、GKの手を弾いてネットを揺らした。さらに39分、主将のCB石渡柊叶(3年)のパスに素早く反応し、守備ラインの背後に抜け出した小澤がゴール左隅に圧巻の4点目を蹴り込んだ。 いずみは前半から主将のボランチ山中偉武生(3年)が積極的に攻撃参加してゴールを狙い、14分に左MF椎橋怜王(2年)が絶好のタイミングでシュートしたが、ボールの勢いがやや弱くGKに捕球されてしまった。 後半10分にはMF尾嶋晴希(2年)の左クロスを右ウイングバック野澤勇毅(2年)がボレーで狙ったが、枠を取らせられなかった。 それでも29分、アディショナルタイムに意地の2点を返した。いずれも椎橋が、右MF林空雅(2年)のパスから鮮やかなゴールを奪った。 秩父農工科学は昨夏の1次予選1回戦でも、自由の森を17-0と圧倒。千葉典昭監督は「攻撃陣には面白い選手がいるので、リーグ戦でどこと対戦しても得点してます」と、この日の5得点には納得していた。 その中心にいる小澤は、今年のチームの特長について「ワンタッチ、ツータッチでパスを回して攻めることです」と説明。4得点は初体験かと尋ねると、「いや、昨年の自由の森戦は6点取りました」と笑みを広げながらこう言った。 だが、指揮官も小澤も終盤の2失点に関しては渋面をつくり、千葉監督は「センターバックが足をつったりしましたが、無失点を達成できなかったのは反省したい。前線からしっかり守り、守備からリズムをつくるのが狙いで、前半はうまくいったが、後半はできませんでした」と言って首をひねった。 それでも今回、人工芝対策は怠らなかったそうだ。3年前の第100回大会1次予選は、この日と同じ所沢航空公園サッカー場で1回戦を迎えたが、エースが開始5分で不慣れなピッチにけがを負い、川口工に0-10の大敗を喫していた。 こんな不測の事態を経験しただけに、前日には人工芝グラウンドを借りてしっかり“足慣らし”して初戦に臨んだ。 次戦は大宮東だ。千葉監督は「胸を借りるつもりで戦いたい。後ろ(DF)が粘って何とか接戦に持ち込めれば」と展望していた。 (文・写真=河野正)