コレステロールが不足すると、認知症にも鬱病にもなりやすい【柴田博×和田秀樹⑤】
健康に長生きするには「コレステロールは下げる」のが常識。でも実はこれ、間違いなのです。実証研究に基づく対談は“目から鱗”の連続。日本人の生活を根本から変えてしまうかも。『80歳の壁』著者・和田秀樹が“長生きの真意”に迫る連載。今回の対談者は医学博士・柴田博氏。第5回。 【写真】「豆乳より、牛乳」「卵はたくさん食べても問題ない」栄養は食品から摂るべき理由【柴田博×和田秀樹⑥】
低栄養の怖さを知れ
和田 健康情報は多いのですがそれが真実とは限らない。偏るのもよくないですね。「○○が体にいい」と言うとそればかり食べる。でもそんな単純ではありません。 柴田 栄養は食品全体から摂りますからね。 和田 僕は精神科なので、セロトニンは増やさないと鬱になりやすいという話をする。するとよく患者さんから「大豆がいいんですか、植物性がいいんですか」と質問される。植物性タンパク質は確かに体にいい。でもコレステロールが欠けているんです。コレステロールが高い人は鬱病になりにくいし、なったとしても治りやすい。 柴田 認知症もそうですね。 和田 つまりセロトニンを増やすだけじゃなくて、コレステロールも増やす。じゃないとセロトニンが脳まで運ばれない。 柴田 コレステロールは細胞膜を作りますからね。タンパク質とリン脂質とコレステロールで作られる。コレステロールが不足すると細胞膜が弱くなるから、がんにもやられるし、感染症にもやられてしまう。 和田 コレステロールは神経の鞘の部分の材料でもある。 柴田 そう。コレステロールは体全体で160~180gあるんだけど、3割が脳のほうにあり、神経系まで入れると7割くらいです。だからコレステロールが不足すると、認知症にもなるし鬱病にもなりやすいんです。 和田 もう一つ、免疫細胞の材料でもある。不足したらろくなことはありませんよ。僕が学生の頃は「コレステロールの低い人が低栄養だ」って習ったんですけどね。 柴田 教える先生によります。今は低いほどいいって教わる人が多いと思います。 和田 人間も動物だから、低栄養でいいわけがないことは、少し考えればわかる。低栄養がいかに怖いかを、もっと知るべきです。 柴田 知らなすぎるのね。 和田 その結果が、今回のサプリの被害ですよ。 柴田 あの会社だけじゃなくてね。コレステロールを下げていること自体が、すでに害をもたらしているっていう可能性は高いんですよ。