争点整理中のスマートデイズ訴訟 司法の場でシェアハウス問題の解明はどこまで進むか
スルガ銀行は、情報には信ぴょう性があると判断し、スマートライフにかかる融資を中止することにしたが、スルガ銀行の営業現場ではスマートライフの名前でなければいいのだと判断し、その判断に対応するようにスマートライフ側は別会社をつくって、かぼちゃの馬車案件に対するスルガ銀行からの融資を継続して引き出し続けた。 スルガ銀行は、銀行として中止したはずのスマートライフ関連の融資を事実上継続し、融資中止の決定は「スマートライフという名前を使わなければいい」という安直な内容にすり替えられてしまった。こうした経緯の背景として、営業現場の盲目的な売り上げ至上主義やパワハラが横行する職場環境があったと考えられ、その異常性が今、メディアを賑わせているということだ。 問題の本質はスルガ銀行の内部問題にとどまらない。スルガ銀行の融資が実行されなければ、スマートデイズの投資ビジネスは成立しなかったのであるから、スマートデイズの投資ビジネスにおいてスルガ銀行が果たした役割は極めて大きいと言える。 そのスマートデイズの投資ビジネスはどのようなものであったのか? 原告オーナーたちが主張するように投資を偽装した詐欺であったのかどうか、それは融資を実行したスルガ銀行の銀行としての本質に直結する問題をはらんでいるだけに、司法の判断は大いに注目される。 ただし、被告は30人以上にのぼっており、それぞれに弁護士がついているという。すでに和解に応じたり、和解をする方向で話し合いが進んでいるケースもあるようだが、訴えられた側の主張は、それぞれ異なっているようで、裁判は複雑化かつ長期化することも予想される。 原告オーナーが東京地裁に提訴をしたのは今年3月だが、半年を経た現在も争点整理が行われている状況だ。訴訟が長期化すれば問題が希薄化し、司法の場で十分な実態解明が進まない可能性もある。シェアハウスをめぐる様々なうごめきが司法を通じて明らかになるのかどうか、その行方は依然として不透明だ。