社説:伯仲国会の野党 連携して政治改革迫れ
国民の審判による与野党の伯仲状況で、民意を映す熟議の国会を取り戻せるか。野党の責任はいっそう重いといえよう。 臨時国会で衆院選後、初の与野党論戦が本格化した。 衆参の代表質問では、大幅議席増となった立憲民主党の野田佳彦代表らが、自民党裏金事件を受けた抜本的な政治改革を迫った。 野田氏は「企業・団体献金の禁止が改革の本丸だ。なぜ議論の俎上(そじょう)に載せようとしないのか」と訴え、所信表明演説で触れなかった石破茂首相を批判した。 「不適切と考えていない」とかわす石破氏だが、金権腐敗の温床だと日本維新の会、共産党なども禁止を訴えた。先月の共同通信世論調査でも約7割が禁止を支持している。これを追い風に、立民は政治資金規正法を再改正する法案の野党共同提出を目指す。 ただ、立民が呼びかけた法案協議に国民民主党は出席せず、野党の足並みはそろっていない。 国民民主は野党第3党に躍進して多数派形成の鍵を握る形となり、「年収103万円の壁」の見直しなど与党との政策協議を優先する姿勢にみえる。石破氏は政治改革でも国民民主を取り込もうと秋波を送っている。 だが少数与党となった自民を後押しし「補完勢力」に陥るなら、たちまち有権者に見放されよう。 野党第1党の立民は、党利党略を排した「抜け穴のない抜本改革」で野党結集の軸となり、対峙(たいじ)していく役割が求められる。 立民は、歳出13兆円超の政府補正予算案にも緊急でない支出が多いとし、7兆円規模に減額を求めた。借金頼みで膨張した財政を見直す姿勢は認めたい。委員長を担う予算委員会でも中身をしっかりと吟味してほしい。 野党第2党の維新は、存在意義が問われていよう。衆院選の議席減で馬場伸幸代表が引責辞任し、代表選で吉村洋文大阪府知事が圧勝した。知名度の高い「エース」に立て直しを託したといえる。 吉村氏は、政権への対決姿勢を強めて存在感の発揮を掲げた。 馬場氏は「第2自民党でいい」と公言し、通常国会で欠陥だらけの与党の規正法改正に手を貸した姿勢が支持離れを招いたのは否めない。 共同代表に京都選出の前原誠司衆院議員を選んだ。閣僚や党首の経験への期待だろうが、10月に合流したばかりで国会議員を主導できるのか。立民や国民民主との連携を含め立ち位置が問われよう。