若年層の「自分らしさ」を後押しする計測体験を。 ワコール 「SCANBE」のサービス設計とコミュニケーション戦略
顧客の声を活かしたサービス開発
DD:では実際にどのようにお客さまの声を集めているのでしょうか。 高田:たとえば、新しいサービスを開始する前には、まず簡易版のサービスを作っています。そのサービスを実証実験としてお客さまに体験いただき、その後インタビューを実施しています。お客さまのニーズに基づいてサービスを開発していますが、簡易版サービスを実際に体験したお客さまの声を聞くことで、新たな発見や気づきを得られることがあります。 価格に関する意見や診断結果に求めるものなど、我々が提供するサービスにどういった価値を求めているかを知ることができます。 また、アンケート調査やSNSのエゴサーチでもお客さまのニーズはある程度見えますが、文章だけでは気づくことができない本当の気持ちを汲み取れることも多いため、インタビューはサービス開発の過程において非常に重視しています。
選択肢の提案と自分らしさの後押し
DD:お客さまとコミュニケーションを図る上で、どういったメッセージを発信していますか。 高田: 我々はお客さまの「自分らしさを実現すること」を後押ししたいので、まずは自分のことを受け止めていただけるようなメッセージを発信するよう心がけています。 お客さまのなかには、たとえば3D計測の「平均値を知りたい」という意見や、自分の骨格に「似合わないものを教えてほしい」という要望をいただくこともあります。 お客さまの声を取り入れる際には、それが自分らしさを後押しすることにつながるかどうか、ブランドの指針と照らし合わせて検討するようにしています。 我々は提供するサービスを通して、お客さまに「こうなってほしい」「こうあるべき」といった理想の提示はしていません。あくまで選択肢や提案を増やし、お客さまにより選びやすく自分らしさに近づける後押しをしたいと思っています。 今後はより多くの方に「SCANBE」を体験していただくために、ターゲット層であるお客さまが来店しそうなエリアへの出店も広げていきたいと思っています。また、ボディデータを起点にしたコンテンツの拡充を目標にしていきたいです。 イノベーション戦略室のメンバー。高田氏と課長代理の南智沙氏(写真右)。東急プラザ表参道「オモカド」の店内には、顧客からのメッセージが書かれたメモが壁に貼られている。 Written by 坂本凪沙 Photo by 三浦晃一
坂本凪沙