若年層の「自分らしさ」を後押しする計測体験を。 ワコール 「SCANBE」のサービス設計とコミュニケーション戦略
若年層へのターゲティングとコミュニケーション
DD:ワコールの商品は高価格帯のものが多いイメージなので、もう少し上の層がターゲットだと思っていました。 高田:リブランディング前の「3D smart & try」の利用者も約7割が20~30代で、若い世代との接点が作れていましたが、若年層が求めているものに親和性があると感じていたため、今回はより若年層にフォーカスしたサービス設計にしました。 DD:若年層にはどのように認知を図っていますか。 高田:まだまだ途上ではありますが、ボディデータを活用したコンテンツの拡充に注力しています。 たとえば、「わたしに合うブラ診断」 は3Dボディスキャナーで計測した結果に基づき、体に合うブラジャーの選び方を10分でアドバイスしてくれるコンテンツです。コンテンツを増やしていくことで、ブランド全体の一連の「自分を知る」体験として、お客さまとのコミュニケーションにより深度が出ると考えています。 3月には3Dボディスキャナーを使って骨格診断ができるようになりました。お客さまの骨格がナチュラル・ウェーブ・ストレートのいずれかを診断することができるものです。この「わたしを知る骨格診断」に関しては、利用者の約半数が10~20代の方で、ターゲット世代の方から好評をいただいています。
リブランディングとコミュニティの形成
DD:このサービスを利用したお客さまの反応はいかがでしょうか。 高田:「SCANBE」の旗艦店である東急プラザ表参道「オモカド」店では、お客さまにコメントやメッセージを書いていただいています。リブランディング前と比べてコメントの内容が変化しているのを感じます。 かつては「正確ですごかった」などの機能的な部分に対するコメントが多かったのに対し、今では「体験自体が楽しかった」「自分の知らない一面を見ることができた」など感情にフォーカスしたコメントが増えてきています。 お客さまのコメントやメッセージが書かれたメモは店内の壁に貼っているのですが、このアナログな取り組みは、ファンコミュニティサイトのような側面もあると思っています。計測後に、ほかの人の意見やコメントを見たお客さまが、気持ちをシェアしたり、前向きになれたりすると思います。 DD:さまざまなコンテンツがありますが、それぞれ企画を設計する時に重視することはなんでしょう。 高田:顧客起点で考えることを大切にしています。たとえば骨格診断は、3D計測をしたお客さまが、ご自身のボディデータを見た際に「自分はウェーブだ」など、骨格に関するお話をされていることが多く、それが開発のきっかけになりました。お客さまの声が起点となったサービスです。 デジタル上でのサービスは、技術的に実現が難しいこともありますが、お客さまの声をできる限り反映できるようにしています。