佐藤ママが長男の受験で「まさか」の経験 「絶対に大丈夫ということはない」
今日やれることを一生懸命やる
――本番が迫っているのに子どもが勉強をしていないと、親が心配になって、「いつまでダラダラしてるの!」と不安をぶつけてしまうこともあるのですが。 実は、子どもはもっと不安なんですよね。そうは見えなくても、自分自身のことですから。「落ちたらどうするの? このままじゃ、ダメかもよ」なんて親が言っても、何の役にも立たない。 だから私なら不安を表には出さずに、「今のように自分の時間を自分のためだけに使えるのは、人生の中でもうない。目の前にある一分一秒が光り輝くような大切な黄金の時間。だから勉強以外に使うのはもったいない。それ以外のことは、受験の後になんでもできるでしょ」と話します。 ただ「ダラダラしてたらダメでしょ」って言うよりも、人生訓みたいな言葉が、意外とこの年齢の子どもの心を打つんです。自らの不安を解消するには、勉強するしかないのですから。 ――不安を訴える子には、どう声をかけたらいいですか。 私は「朝起きてから寝るまで、今日やれることを一生懸命、頑張ろう」と言い続けていました。明日のことを考えたら不安になるだけだし、終わった昨日のことを考えても意味がない。前を向くしかない。ここまできたら「まな板の鯉」なのだから、ジタバタしながら、その日一日のことだけを考えて生きていこうって。私は「積極的その日暮らし」と呼んでいました。 ――親は励ますつもりで「頑張ってきたんだから大丈夫よ」などと言いがちです。 そうですよね。親って「お父さんの子だから大丈夫」とか言うことありますよね。だから何なんだって話です(笑)。主人には、子どもたちに声はかけないように言っていましたね(笑)。「私は考えてから声をかけるけど、お父さんは考えないで気楽に声をかけるから困る」って。 子どもは日々頑張っているのですから、「頑張って」も言いませんでした。最後の最後に、受験に向かうときだけ、「頑張って」と声をかけました。どんなに模試の成績がよくても、本番は別ですから「大丈夫」という言葉は無責任だと思います。 ――経験されているからこそ、重みのある言葉ですね。 合格するまでは大丈夫かどうかは、わからない。だから子どもは「大丈夫」と言われてもイラッとするんですよね。大学受験は子どもたちにとって、人生18年でくる最大の試練です。それを心から応援するなら、親の不安を解消するためではなく、子どものための声がけをしてほしいと思います。 <プロフィル> 佐藤亮子(さとう・りょうこ)/大分県生まれ。津田塾大学卒業後、大分県内の私立高校で英語教師を務める。結婚後は夫の勤務先である奈良県に移り、専業主婦として長男、次男、三男、長女の4人の子どもを育てる。長男、次男、三男は灘中学・高等学校を経て東京大学理科三類に進学。長女は洛南高等学校附属中学・洛南高等学校を経て、理科三類に進学した。現在は4人とも医師として活躍している(長女は研修医)。その育児法、教育法に注目が集まり、進学塾「浜学園」のアドバイザーを務めながら、子育てや勉強、受験をテーマに全国で講演を行っている。著書に『三男一女東大理Ⅲ合格!佐藤ママの子育てバイブル 学びの黄金ルール42』(朝日新聞出版)など。
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