『駐車禁止の張り紙を貼られても慌てて警察署へ出頭しない方がいい』は本当か?【行政書士ライダーが徹底解説】
弁明することはできるが…
ここで、「放置車両確認証票を貼られた場合、警察署へ出頭する必要があるのか?」について冒頭の続きをお話しします。 答えはNo、「出頭してもしなくてもよい」が正解です。 出頭せずそのままにしておくとどうなるかというと後日、車両の車検証上の使用者宛に放置違反金の『仮納付書』が届きます。この仮納付書の段階で放置違反金を納付すればそれで手続きは全て終了となります。 ですが放置駐車違反の取締りに対しては『弁明の機会』が付与されていますので仮納付を拒否した上で弁明の手続きをすることができます。 弁明とは、簡単に言えば文句(異議や言い訳)を言うことです。文句を言うといっても放置駐車違反に対する弁明は口頭ではなく弁明書を提出することによって行います。 弁明書の内容に正当性が認められた場合は放置駐車違反のペナルティーはなくなります。が、それは極めて稀だと言われています。 しかし前述のように取締りにどうしても納得がいかなかった私は何か言わなければ気が済まず、熱い熱い内容を書き連ねた弁明書を作成しました。 結果は予想通り撃沈。 正式に放置違反金の『納付命令書』が届き納得いかないまま納付して手続きを終了させました。
運転者責任と使用者責任
今回赤裸々に実体験をお話ししたのには理由があります。それは、弁明が認められるのは極めて稀だということと、現行法上の弁明手続きは運転者ではなく車両の保管責任を有する使用者に対するものだということをお伝えしたかったからです。 【弁明が認められ得る3つのケースとは?】 1 事実誤認等により違反が成立していない 2 (売却等により)使用者ではなかった 3 天災等不可抗力だったことが明らか ※警察庁通達より 改正前の駐車違反は他の違反と同様運転者の責任を問うものでした。 スピード違反や信号無視なら取締りを受けた人が運転者ですよね。ですが駐車違反は運転者がそこにいないからこそ成立する違反です。 警察がナンバーから使用者を割り出しても「友人に貸していた」、「盗まれた」などという言い逃れも可能でしたし事実多かったのです。 そこで、そんな言い逃れをさせないためにも運転者責任だけではなく使用者に対しても責任を問えるよう法改正(2006年6月1日施行)がなされたのです。 使用者に課される放置違反金は行政罰の一種ですが金額は運転者に課される反則金と同額。当時に取締りを民間の駐車監視員へも開放し取り締まり体制を強化。事実、改正後は取締り件数が激増するという効果を発揮しています。