内臓のストレッチで腸を元気に、1分太極拳に辛酸なめ子さんが挑戦・実感。
「足元が安定すると姿勢が安定します。それは片足立ちの時もそうで、重心をかける実の足がしっかりすると、浮かせた足、虚の足もゆっくり自由に動かすことができる。私はそれを“おしゃれな虚歩”と呼んでいます」 「楊先生はきっとひどい揺れの電車に乗ったりしてもよろけたりしないんでしょうね」 「はい、大丈夫だと思います」 この日、楊さんが持ち帰り用に辛酸さんに授けた動きは3つ(それぞれ下写真参照)。まずは、基本となる立ち方の立禅(りつぜん)。これで太極拳本来の目的である“心・息・動”の真髄(ゆっくり動くと呼吸が落ち着き、呼吸が落ち着くと気持ちが落ち着く)をイメージしてみる。さらには基本の動きとなる甩手(すわいしょう)に先ほどの十字手。私たちもさっそく実践してみよう!
基本の動きを覚えたら、本格的な太極拳にも挑戦してみよう。
第二弾錦(だいにだんにしき)
鷹を弓で射るようなイメージの動き。腰をしっかり落とし、胃や腸に内から刺激を与える。 楊さんの教える〈楊名時太極拳〉には太極拳と併せて〝八つの健康体操〟ともいえる八段錦を行う。その中の第二弾錦は、本来、心臓や肺の機能を高める動きだが、腸への効果を期待してこの動きに注目をする。 「大きく足を開いて中腰になる〝騎馬立ち〟という動きをすることが特徴です。息を吐きながら沈み込むことで、より呼吸が深くなり、お腹に効果的な刺激を与えることができます」 コツはゆっくり動き、ゆっくり呼吸をすること。動作は常に背筋をまっすぐに、を意識しよう。
足を大きく開いて立つ。
前に出した両手をゆっくり下げながら、腰を落とす。馬に跨るイメージ。
両手で拳を握りながら立ち上がる。
両手をクロスさせ、左手でV字を作る。
大きな鳥を弓で射る動き。胸を開き、V字の手を左に伸ばし、腰を落とす。
両手を戻し、立ち上がる。
両手と腰を下ろして、反対側も行う。
白鶴亮翅(バイホーリャンチー)
ウエストを意識して鶴が飛び立つように伸びやかに動くことで、体じゅうに気血が巡る。 八段錦ともう一つの種類が24式太極拳というもので、武術を背景とした動きになる。私たちが太極拳と聞いてイメージするのはこちらだろう。 「白鶴亮翅は24式の一つです。鶴が大きく羽を開くような動作をするのでこの名前がついています。ぱっと見は手が動きをリードしているように見えますが、実はお腹のひねりが肝で、手は腰の動きに連動しています」 このひねりの動きに腸活効果が期待できる。〈楊名時太極拳〉の授業では八段錦と24式を一緒に行うが、ここでも組み合わせてチャレンジしてみよう。