ビットコイン、10万ドル維持に苦戦──トランプ氏の親暗号資産的な発言による上昇が失速
ビットコイン(BTC)は12日早朝に史上最高値を更新する勢いを見せたが、債券市場の暴落がリスク資産に打撃を与え、米国取引時間の午後に急落した。 ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期大統領がニューヨーク証券取引所で開会のベルを鳴らす際に、「暗号資産(仮想通貨)で何か素晴らしいことをするつもりだ」と述べ、米国でデジタル資産を受け入れて戦略的ビットコイン準備金を創設する意欲を改めて示したため、ポジティブな値動きとなった。また、欧州中央銀行(ECB)は基準金利を25ベーシスポイント引き下げ、ハト派的な政策声明のなかでさらなる利下げが行われる可能性を示唆した。 ビットコインは10万2500ドルまで上昇し、先週に10万4000ドル超えの史上最高値を更新したとき以来の高値となった。この上昇は続かなかっただけでなく、10万ドルの水準も維持できず、12日夕方に9万9800ドルまで下落した。 欧米の債券市場がECBのハト派的な姿勢にネガティブに反応したためか、主要なリスク資産も全体として売られた。ドイツ10年債利回りは8ベーシスポイント上昇して2.21%、米10年債利回りは6.5ベーシスポイント上昇して4.34%となった。米国株は序盤の上昇から一転して下落に転じ、ナスダックは0.7%、S&P500は0.5%下落した。金価格も午後に下落し、1.8%下落の1オンスあたり2706ドルとなった。
アルトコインはBTCをアウトパフォーム
アルトコインは平均してビットコインをアウトパフォームし、広範な市場を対象とするCoinDesk 20 Index(CD20)のほとんどの銘柄がこの日上昇を記録した。アバランチ(AVAX)とチェーンリンク(LINK)は、CD20の構成銘柄のなかで最もパフォーマンスの良い資産で、それぞれ9%と13%上昇した。AVAXは、ギャラクシー(Galaxy)、ドラゴンフライ(Dragonfly)、パラフィ・キャピタル(ParaFi Capital)が主導する2億5000万ドル(約382億5000万円、1ドル153円換算)のトークン投資のニュースから恩恵を受けた可能性がある。一方、トランプ氏関連の分散型金融(DeFi)プロジェクト「ワールド・リバティー・ファイナンシャル(World Liberty Financial:WLFI)」は、終日LINKの購入を続け、取引時間の後半には100万ドル(約1億5300万円)相当のトークンを追加購入したことが、アーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)のオンチェーンデータで示された。 時価総額第2位の暗号資産イーサリアム(ETH)もビットコインをアウトパフォームし、4000ドル手前のセッション高値から後退したあと、この日1.5%の上昇を維持した。暗号資産分析会社CryptoQuantは、イーサリアム現物ETF(上場投資信託)への力強い資金流入と急速に発展するイーサリアムブロックチェーンの活動により、イーサリアムは5000ドル超えの史上最高値を更新する可能性があると述べた。 |翻訳・編集:廣瀬優香|画像:ビットコイン価格(TradingView)|原文:Bitcoin Grapples with $100K as Rally on Trump's Crypto-Positive Comment Fizzles
CoinDesk Japan 編集部