驚愕…! 五重塔の大黒柱は「地面から浮いていた」…だから、大地震でも「倒れない」奈良時代から培われた「超」技術
心柱各部の詳細を見てみる
心柱は、五重の土居桁から柱の周囲4点で吊るされている(図「青龍寺五重塔の宙吊り心柱」のaとb)。心柱を吊っているのは、タンバックルで連結された2本の亜鉛メッキSS400鋼棒(直径25ミリメートル)である。宙吊り心柱の底部は同図cに示されるように“礎石”から30センチメートルほど浮いている。 また、図「青龍寺五重塔の心柱」の上の写真(初重天井裏に敷かれ心柱を囲むように見えるのはビニールシートのようなもの)や図「青龍寺五重塔の宙吊り心柱」のcからわかるように、心柱は五重塔の構造物にまったく触れていない。実際、私は初重で心柱を押してみたが、簡単に揺らすことができた。 つまり、私が宙吊りの心柱を揺らしたときは、天高くそびえる相輪も揺れていたことになる。 ところで、日光東照宮の五重塔の初重が、東京スカイツリーの開業に合わせて、初めて公開された(2012年5月22日~2013年3月31日)。 私も早速、その“宙吊り心柱”を見に行った。中心を貫く直径60センチメートルの心柱が四重から鎖で吊り下げられており、その最下部は礎石の上で浮いている。創建当時はどのくらいの隙間だったのかわからないが、いまは10センチメートルほどになっている。 もちろん、許されることではないが、初重で見られる心柱を何かで押せば、それが相輪ともども揺れるのは間違いない。 * * * 続いては、五重塔の耐風構造を見てみます。こちらも、実に巧妙な技術が生かされていました。 *こちらの続きは6月21日(金)公開予定です。 ---------- 古代日本の超技術〈新装改訂版〉 古代世界の超技術〈改訂新版〉 ----------
志村 史夫(ノースカロライナ州立大学終身教授(Tenured Professor))