「更年期の関節痛」が疑われる人必見 病院受診の目安や治療の流れとは?
更年期関節痛に対する治療法
編集部: 更年期障害のひとつとして関節痛が生じている場合には、どのような治療が行われるのですか? 上原先生: 最も有効なのはホルモン補充療法です。これにより関節痛だけでなく、ホットフラッシュや自律神経の失調症状など、更年期障害によるさまざまな症状の改善が期待できます。 編集部: ホルモンはどのようにして補充するのですか? 上原先生: 製剤は貼り薬、塗り薬、飲み薬があり、その人に合わせて選択します。子宮のある人はエストロゲンだけを投与すると子宮体がんのリスクを高めるため、エストロゲンと黄体ホルモン製剤を併用します。 編集部: 子宮を摘出した人の場合は? 上原先生: その場合には子宮がんの心配がないので、エストロゲン製剤だけで治療を行います。 編集部: 飲み薬や貼り薬などの種類がありますが、効果は違うのですか? 上原先生: いいえ、効果は同じです。ただ、貼り薬や塗り薬など経皮的に投与する方が、副作用が少なく、また、血中濃度が安定するということがわかっています。そのため、当院では貼り薬や塗り薬を積極的に使用しています。 編集部: でも、黄体ホルモン製剤と合わせて服用しなければならない場合もあるのですよね。 上原先生: はい、子宮がある人は併用します。便利な製剤としてエストロゲン製剤と黄体ホルモン製剤が一体となった貼り薬があるので、まずはそれを使うことが多いです。 貼り薬ではかぶれてしまうなど不具合がある場合は、エストロゲン製剤は塗り薬、黄体ホルモン製剤は飲み薬、などその方に合った製剤を選択することになります。 編集部: ほかにはどのような治療法があるのですか? 上原先生: 更年期の関節痛に対する治療法はほかにも、漢方やプラセンタ、エクオールというサプリメントも効果的です。精神的なストレスが痛みと関連していると考えられる場合にはカウンセリングを活用することもあります。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。 上原先生: 更年期に関節痛やこわばりが生じたら、早めに一度、医療機関を受診してほしいと思います。なぜならもしリウマチだった場合、放置することで関節の変形が進んでしまう場合があるからです。 そのため、まずはリウマチを専門に診察する医療機関を受診し、更年期関節痛なのか、あるいはリウマチなのか、鑑別をしてもらってください。もしリウマチの可能性が排除されたら、更年期関節痛の治療を行いましょう。 更年期関節痛はエストロゲンの分泌が揺らぐ時期が一番辛く、揺らぎがおさまって安定してくればそのうち痛みが取れるとされていますが、なかには変形性関節症に進んでしまう人もいます。 またホルモン補充療法には脂質異常症や骨粗しょう症を予防する効果も期待できますから、アンチエイジングの意味合いも兼ねて治療を検討してみてください。