ほめ言葉は“子どもを縛る呪い”にも。小児科の考える容赦なく叱っていい基準
●これだけは譲れないという「家庭の軸」を立てる
では「家庭の軸」とはなんでしょう。私たち子育て科学アクシスでは、親がしっかり考えて「これだけは普遍的に絶対に譲れない」軸を2、3本だけ立てて、家庭生活を行ってくださいと言っています。 そうなると、多くの場合「生きるか死ぬか」に関することに絞られていくはずです。「死んではいけないし、死なせてはいけない」というのは最たるものでしょう。 たとえば「ゲームを長時間やらない」というのは別に「家庭の軸」に抵触しないので叱る必要はありませんが、夜9時の就寝時刻を過ぎてもゲームをやるのは「命を削る行為」として絶対に許されないので、見つけたときには真剣に叱ります。 ただし、このときに「ゲームなんかして」とは言いません。ただただ「うちの家では9時就寝“だけ”が大切である」と伝えるのみです。 かたや、子どもがどんなに部屋を片づけなくても、テストで繰り返し赤点を取ってきても、家族の命も本人の命も脅かされないので、叱る必要はないということになります。 ただ、もしも家族共用の廊下にリコーダーを放りっぱなしにしていたら「お母さんが急いで廊下を走ったときに、間違ってリコーダーを踏んで転んで頭打って死んだら大変」なので「共用の部分には危険な散らかしはしない」と叱ります。 「家庭の軸」を脅かすこと以外は叱らない、どんなに部屋を散らかしていても、学校のテストで悪い点を取っても口を出さないなんて、耐えられそうにないと思われるかもしれません。そんなときには「ただ認める」ことが有効です。 「こんなに散らかして、よく平気だね」「よくもまあ、これだけ間違えたね」など、子どものありのままを認める言葉がけをすれば十分なのです。 できていないことについて叱られるのではなく、ありのままの自分を認めてもらうことこそが、「親だけは、私のことをちゃんと理解してくれている」と、不安定な思春期の「心のよりどころ」になっていきます。
ESSEonline編集部