孫正義氏、トランプ氏とそろって会見 米国への15兆円投資を発表
アメリカのドナルド・トランプ次期大統領が、ビジネスの場として同国は素晴らしいとアピールするなか、世界中の企業は、その呼びかけにどう応じるべきか考えをめぐらせている。 日本のハイテク企業を率いる富豪で、大きな業績とともに大失敗でも注目されてきた孫正義氏は16日、一つの対応方法を示した。トランプ氏とともに記者会見に臨み、今後4年間で1000億ドル(約15兆円)を投資し、10万人の雇用をつくり出すと宣言した。 ソフトバンクグループ(SBG)の会長兼社長を務める孫氏は、トランプ氏を「偉大な交渉者」と表現。トランプ氏から投資を倍にするよう迫られると、壇上で笑った。 ただ、孫氏の投資計画には多くの疑問符がつく。詳しい情報に欠けるうえ、トランプ政権1期目でも同様の投資計画があったということもある。 孫氏は以前から、人工知能(AI)にビジネスチャンスがあると話している。米ブルームバーグは2月、孫氏が1000億ドルの資金を投じて、半導体を供給する新会社を設立する計画だと報じた。 しかし、ソフトバンクグループはそのころ、その約3分の1の300億ドルしか現金がなかった。また、米シェアオフィス大手ウィーワークへの大規模投資が失敗に終わるなどし、世界的な評価は大打撃を受けている。 この日、トランプ氏の私邸マール・ア・ラーゴでカメラの列を前にした孫氏は、今回打ち上げた投資の資金調達方法について、具体的な説明を避けた。 一方、トランプ氏も詳細は求めなかった。そのため孫氏の約束は、ここ数週間の各種調査に表れている、ビジネスに関する楽観主義の広がりを示す一つの事象といったものとなった。 トランプ氏は、「この歴史的な投資は、アメリカの未来への信頼を示す記念碑的なものだ」と述べた。 孫氏とトランプ氏の関係は、トランプ氏の初当選にさかのぼる。 トランプ氏がホワイトハウスに入ってまもなく、両氏はそろって姿を見せ、アメリカに500億ドルを投資するという孫氏の計画について話し合った。そのころ、孫氏の会社はテクノロジー・ベンチャーキャピタル企業へと変容していた。 ソフトバンクグループは現在、子会社として米通信大手Tモバイルや英半導体設計大手アームなどを保有している。 ■トランプ氏の経済対策 トランプ氏は、ホワイトハウスに戻ったら大統領の立場を利用し、外国からの投資を呼び込むと示唆している。 税金と規制の両方を削減するとしたトランプ氏の選挙公約は、すでにウォール街で株価を押し上げ、野心を追い求める大企業を後押ししている。 トランプ氏は具体的には、米国内で製品を製造する企業に対する減税と、10億ドル以上を投資する企業の承認の迅速化を行うと述べている。 投資家たちは、トランプ氏が企業買収を容認し、独占禁止法の施行を撤回することも期待している。 トランプ氏は大統領選で、労働力に影響を及ぼし得る移民の厳しい取り締まりや、中国、メキシコ、カナダからの輸入品に対する関税の引き上げを打ち出した。これに対しては懸念の声が出ている。 トランプ氏はまた、ジョー・バイデン大統領が実施した製造業やエネルギーに関する優遇措置の撤回を協議している。これについては一部の投資家は好意的に受け止めている。 (英語記事 Standing beside Trump, Japanese billionaire pledges major US investment)
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