震災復興の願い込め“チンドンマン”が練り歩く 富山の春を盛り上げ 70回目の「全日本チンドンコンクール」
富山に春を告げる風物詩「全日本チンドンコンクール」。70回目の節目となった2024年は、能登半島地震の影響でパフォーマンスが制限される「特別な年」となった。復興に向けて進んでいく富山市で、チンドンマン、見物客それぞれの思いを見つめた。 【画像】チンドンマンたちが街を練り歩く
地震の爪痕が残る地元を元気に
富山市に春の訪れを告げる恒例の「全日本チンドンコンクール」が、4月5日から7日まで富山市で行われた。 チンドン代表: (震災などで)つらい思いをされている方が、少しでも楽しく元気な気持ちになれますように、第70回全日本チンドンコンクール、ただいまここ富山県民会館にて開会です 富山県内をはじめ、東京や大阪、福岡などからチンドンマンが集まり、プロ28チーム、アマチュア15チームが参加した。 2024年、70回目の節目を迎えたチンドンコンクールでは、元日の能登半島地震で桜の名所・松川べりの遊歩道や護岸が損壊し復旧工事が続いている影響で、松川べりのパフォーマンスが制限された。 70回の歴史の中でも、「特別な年」になった2024年。地震の爪痕が残る地元を元気にしたいと、富山県内からもプロ3チームが出場した。 桜小路陽炎 親方・田辺桂也さん: 元日の震災も含めて富山に春を告げるだけでなく、みんなに元気になってもらいたい。復興の思いがあるので。皆さんにたくさんの笑顔を与えて元気を出してもらいたい。その一念で頑張る 桜小路陽炎(さくらこうじかげろう)の親方、田辺桂也さんはチンドンマン歴約30年。笑いを入れた口上を得意としている。田辺さんは、戦後復興が進む富山を元気づけようと始まったこのイベントに、地震からの復興への思いを重ねていた。
「すしのまち とやま」一般審査員も
予選、決勝と2日間行われたコンクールでは、プロ28チームが競演した。 決勝では、富山市が目指す「すしのまち とやま」をテーマに、それぞれ工夫を凝らしたパフォーマンスを披露していた。 かわち家(長崎): 天然のいけすと呼ばれた富山湾は、立山連峰から入り込む水が栄養たっぷり チンドン芸能社 美香(東京): 地震に負けるな。病気に負けるな。富山にゃすごいすしがある 2024年は、公募で選ばれた一般客がオーディエンス審査員として参加した。 審査を担当した人は「私の1票が優勝決定に関わると思うとドキドキした」、「どのチームも個性的で審査するのがこんなに苦しいものかと」と緊張しながらも楽しんでいた。 審査の結果、東京の「チンドン芸能社 美香」が7年ぶりに優勝に輝いた。