逸材は甲子園以外にも…プロスカウトに聞く「センバツ後、最初に見に行く選手は誰?」大注目は“静岡の山下舜平大”と“宗山越えの逸材ショート”
雨で試合が2日順延になったあとの3月25日。 センバツ出場すべてのチームの試合が終わると、多くのプロ野球スカウトたちがネット裏から姿を消した。 【写真】「えっ…さすがにデカすぎ?」身長197cmの長~い手足から投げ下ろす“静岡の山下舜平大”こと小船翼のエグすぎるフォーム&「甲子園だけじゃない!」2024年のプロ注選手たちも見る この時期、ちょうど高校野球は春の県大会がセンバツと重なる。大学・社会人野球も春の公式戦シーズンを前にオープン戦がたけなわとなり、スカウトたちはセンバツを見てばかりもいられない。担当地区のお目当ての選手たちの実戦に、練習に、甲子園のネット裏の席を立ってそれぞれ赴いていくのだ。 そのセンバツは、群馬の健大高崎高の初優勝で幕を閉じたが、スカウトたちの仕事はむしろここからが本番である。 このセンバツが終わったら……「最初に見たい選手は誰ですか?」。そんなことをスカウトたちに聞いてみた。スカウトたちが春一番で見たい選手=その地区の有望株の筆頭ということになろう。
ドラフト有力素材がひしめく「静岡県」
「静岡に行きます。公式戦、県大会の地区予選が始まりますから。まず、知徳。大器なのは間違いないですから、小船は」 知徳高の小船翼(投手・197cm100kg・右投右打)は、昨年夏の県大会で146キロをマーク。新チームになった秋には、それが150キロにまで達した。 「センバツ前に練習試合を見たときは、まだ実力の半分も出ていなかったけど、なんといっても春先だし、高校生の大型は調子の波が激しいですからね。経過をしっかり見ておかないと……。あれだけのサイズがあっても、フィールディングやけん制動作なんかもこなせる。決して投げるだけのピッチャーじゃないですからね」 小船投手、昨年の夏前に取材にうかがったことがある。 目の前に立たれた時のデカさが、まさに福岡大大濠高の頃の「山下舜平大(投手・オリックス)」だったが、いろいろ話してみて、野球を多角的に考えようとする思考回路、自分を客観視できるクレバーさ、急いで伸びようとし過ぎない泰然自若さ。その内面までも、当時の山下舜平大投手に重なって見えたものだ。 「磐田東の寺田(光・投手・186cm98kg・右投右打)なんかも、どうなってるのか。小船みたいな巨体だけど、力任せのスピード本位のタイプじゃない。ピッチングという仕事のできる子だと思ってます。巨漢だけに走るのはしんどいんだろうけど、そのへんが前向きになってくれたら将来がもっと開けてくる。健大(高崎高)でコーチだった赤堀(佳敬)君が4月から監督で入るらしいですね」 磐田東高・寺田光投手、昨年夏の県大会では、炎天下で7イニングを無失点に抑えている。 「掛川西の増井(俊介・投手・186cm95kg・右投右打)、浜松開誠館の右と左(伊波龍之介・投手・188kg86kg・右投右打、松井隆聖・投手・179cm85kg・左投左打)に、沼津東の近藤(秀太・投手・180cm76kg・右投右打)。近藤は、進学校のピッチャーですけど、指のかかりのいい良質のストレートが投げられて、スライダーも含めて球筋も安定してます。ピッチャーとしても筋の良さを感じます。今年の静岡、面白いピッチャーが結構いるんです」 今年の桜はまだ7分咲きなのに、こういう話をするときのスカウトの表情には、早くも満開の花が咲いている。 「自分の担当地区の選手でいったら、前橋商業の清水(大暉・投手・190cm85kg・右投右打)からですね、まずは」 長身から145キロ前後の速球を投げ下ろす本格派右腕。昨シーズンの「終わり方」が気になっているという。 「去年の夏の甲子園でやられて(※終盤のリリーフで3安打2四球5失点)、秋も勝つかなと思った県大会の準決勝で敗れてます。評判は高かったのに、去年後半は不本意続き。ひと冬越して実戦でどんなふうに変われるのか。甲子園でやられたって言ったって、指に引っかけた投げ損じのまっすぐだって144~145(キロ)ですからね。電卓1級、情報処理2級……彼の場合は、頭脳明晰も大きなアドバンテージ。ガラッと変わった姿が見てみたいですね」
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