「ようやくこれで終止符が打てます」袴田巖さんの無罪確定 凶器販売したとされた刃物店が看板下ろす
静岡放送
無罪が確定した袴田巖さん。凶器の「くり小刀」を販売したとされた刃物店では、店主の息子が「ようやく終止符が打てる」と話し、看板を下ろしました。 【写真を見る】「ようやくこれで終止符が打てます」袴田巖さんの無罪確定 凶器販売したとされた刃物店が看板下ろす 静岡県沼津市。かつてこの場所には高橋国明さんの父親が店主を務める刃物店があり、商品だった「くり小刀」は長年、事件の凶器とされてきました。 <高橋国明さん> 「うちは亡き両親がかつて検察側の証人になっております。袴田巖さんと、そしてお姉さんのひで子さんにね、改めて、両親に代わって心から深くお詫びいたします。本当に申し訳ありませんでした」 1966年に静岡県の旧清水市で味噌製造会社の専務一家4人が殺害された強盗殺人放火事件で、被害者の体の刺し傷は4人あわせて40か所以上。しかし、刃先はわずか数ミリ欠けていただけで、その不自然さから『疑惑の証拠』とされてきました。 2023年に亡くなった高橋さんの母・みどりさんは1967年の一審の裁判で「袴田さんの顔写真に見覚えがあった」と証言しました。 ところがー <故・高橋みどりさん> 「私は、本当は…見ていないんです」 袴田巖さんの無罪確定を受け、2024年10月13日、高橋さんは店の看板を下ろしました。 <高橋国明さん> 「終わりだ。ようやくこれで終止符が打てます。店の歩みにも、袴田事件との関わりにも、大きな区切りになりました。袴田事件が解決しない限り道具屋としての店は終わらないという、そういう思いが。看板だけは出し続けてきたんですけどね。完全無罪になってようやく看板を外すことができました。ほっとするやら、とても寂しいやら。いろんな思いが交錯してまいります」 58年かけて解放された心の枷。事件に巻き込まれた多くの人に新たな時間が流れ始めています。
静岡放送