マクラーレンの新型スーパーカー「W1」は何がすごいのか
どん欲なまでの「本物志向」
パワーユニットは新開発された「MHP-8」と呼ばれる4リッターV8ツインターボにEモジュールを組み合わせたハイブリッドシステムだ。エンジン単体の最高出力は928PS、最大トルクは900N・mで、これに同378PS、同440N・mのラジアルフラックス型モーターが備わる。バッテリー容量は1.384kWhと小さいものなのでゼロエミッションのいわゆるEV走行は2kmしかできないが、大容量バッテリーを積むことで増える重量を敬遠したとみることができる。 アンヘドラル式と呼ばれるマクラーレンで初採用となるガルウイングスタイルのドアを開けると、“包み込まれる”と紹介するのがふさわしいデザインのコックピットが出現する。左右のシートはカーボンモノコックのエアロセルに直接装着され、ドライビングポジションは、メーターナセルとステアリングホイール、そしてフットレストを含むペダルを前後させることで調整するシステムだ。 こうした斬新なしつらえは、3座シートのマクラーレンF1でもそうであったように、まるで「なにかと同じとは絶対に言われたくない」と主張しているかのようである。 0-100km/h加速2.7秒、0-200km/h加速5.8秒、そして0-300km/h加速12.7秒を標榜(ひょうぼう)するパフォーマンスは、W1の名にふさわしいものだ。300km/h到達タイムは、かの「スピードテール」よりも速く、全長約12kmという世界屈指の規模を誇るナルドのテストコースでは「セナ」のラップタイムを3秒も上回っているという。 理詰めでデザインされたエクステリアや、個性あふれるインテリア、そしてF1由来のテクノロジーを駆使したシャシーとパワートレイン。その開発姿勢は、まさにレーシングマシンそのものではないか。マクラーレンW1の姿を思い出すたびに「本物志向」というキーワードが頭に浮かぶ。 (文=櫻井健一/写真=マクラーレン・オートモーティブ、webCG/編集=櫻井健一)
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