衆院選、物価高対策と成長戦略も争点 各党はデフレ脱却への道筋をどう描くのか
15日公示の衆院選では、物価高対策と成長戦略も争点となる。令和6年春闘では過去最高水準の賃上げが実現したにもかかわらず、物価上昇の波は収まらず家計を圧迫しているからだ。家計への打撃を和らげ、経済を上向かせる政策を明確に示してくれるのはどの政党か。有権者の厳しい視線が注がれる。 「デフレ脱却を確実なものとする」 石破茂首相は就任以降、この言葉を繰り返している。 日本経済は物価が下落し続けるデフレの状態ではなくなった。むしろ消費者物価指数（除く生鮮食品）の前年同月比上昇率は政府・日銀が目指す2％を29カ月連続で超え、インフレの状態だ。 岸田文雄前政権は11兆円を超えるエネルギー料金補助や約3・3兆円規模の定額減税など、家計を守る措置を取ってきた。経済界に賃上げを働きかけるとともに、価格転嫁をしやすい環境整備にも努めてきた。 それでも手取りの増加は定着しない。物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は8月に3カ月ぶりにマイナスに転落。2人以上の世帯の実質消費支出は前年同月比1・9％減だった。 首相は個人消費の動向に気を配る。現行の電気・ガス料金補助は10月使用分で打ち切り予定で、ガソリン価格補助は年内で期限を迎える。衆院選では、これらの延長や低所得者向け給付を巡り論戦となりそうだ。 首相は4日の所信表明演説で、「賃上げと投資が牽引（けんいん）する成長型経済の実現を図る」と強調した。 日本経済を成長軌道に乗せる主役を担うのは企業だ。企業の前向きな投資を引き出すには、生産性向上の取り組みや資金調達環境の整備、スタートアップ（新興企業）の支援などが欠かせない。デフレからの完全脱却に向け、どんな道筋を描くのか。衆院選では、各党が具体的な成長戦略を示すことが期待されている。（米沢文）
