《佐野SAの39日間ストライキとは何だったのか》発端の元総務部長が初めて語った騒動の真相「すぐ終わるはずだった」「休業の従業員60人に支払った自腹1500万円」の行方
「大半の従業員に、『すぐに復職を認める。戻ってくる人には悪いようにはしない。ボイコットを続けるなら、損害賠償請求の可能性もある』という趣旨の手紙が届きました。私が供託した資金が減っていくスピードも速く、数日後には、ほぼ消失する見込みでした」 加藤氏は、組合の解散もやむを得ないと腹を括ったという。
「一緒に頑張った仲間同士が、将来悪口を言い合う結末だけは避けたいと思いました。ストの勝ち負けより大事にするのはそこでした。 そのことを伝えるために、会議室で全員を前に『皆さん、資金はあと2日で尽きます。皆さんにはそれぞれ生活があり、個別の事情も痛いほどわかります。今回の会社側からの申し出に応じたとしても、裏切りではありません。残る人たちも、抜けた人たちを悪く思わないでください。裏切りどころか、こんなに長い間1つになって動けたことを誇りに思っています。今までありがとうございます』と、伝えました。会議室は悲しい雰囲気に包まれました」 その日の夜、会社側から仲介者を通じて加藤氏に口頭で連絡があった。 「内容は『全員復帰してほしい』というものでした。我々はそれまでの経緯もあり、この会社側の申し出をにわかに信じられませんでした。数日間かけて確認を行い、事実だと知り、ようやく歓喜しました。自分の解雇が原因で始まったストでしたから、なんとか区切りを付けられて肩の荷が下りた思いでした」
スト終結、そして職場復帰を果たして…
2019年9月22日にストは終結し、全員が職場復帰を果たした。加藤氏が自腹で労組に供託し、スト中の従業員たちに支払っていた給与分の1500万円はどうなったのだろうか。 「ストはすぐに終わると確信していたので、本当にこれだけの額を支払うことになってめんくらいました。実際に支払いが始まる時に計算してみたら、1日40万円が必要とわかり、シビれました。 毎朝起きて『うわーっ、今日も40万円減っちゃうなぁ』と、思う日々を想像してみてください。まぁ得難い経験をさせてもらいましたし、お金はまた稼げばいい。高齢の従業員も含めて、全員で復帰できたので、よかったとしておきましょう」 突然、「当時、従業員の皆さんからこんなプレゼントを貰ったんですよ」と、加藤氏がカバンから取り出したのは、多くの感謝の言葉が綴られた手紙とお金だった。
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