【40代、50代・疲れ知らずの体をつくる生活術①】疲労は生命維持のための体からのSOS!
暑さ、寒さなどの気候、働きすぎ、人間関係や仕事の重圧などによる肉体的&精神的なストレスなど。私たちの環境は疲れる要因がいっぱい。慢性的に疲労感を抱えている人も少なくないだろう。一方で、いつも元気に過ごしている人もいる。その違いはどこにあるのか? 内科医で疲労に詳しい工藤孝文さんに伺った。
自律神経の働かせすぎが疲労の原因
寝ても疲れが取れない、すぐに疲れる、慢性的に疲労を抱えているという人はいないだろうか? そんな状態でも、仕事が休めない、家族や介護中の親のために食事を作らなければならないなど、なんとか体や気持ちをだましながら、やりくりしている人も少なくないだろう。 そもそも「疲れる」とはどんなことなのだろうか?
「疲労は空腹感、喉の渇き、痛み、眠気、発熱などと同じように、人間の生体を維持するための一種の警告です。これ以上、体や精神にストレスが続いたら、体に害が及ぶので活動をやめさせようとするサインなのです。 それには自律神経が関係しています。 自律神経には活動時に活発になる交感神経と、夜や安静時に活発になる副交感神経があり、呼吸や心拍、発汗や体温調整などをコントロールしています。 例えば、運動時には交感神経が働いて、その強度や体調などに応じて、呼吸や心拍数、血圧、体温などを上げて調節します。こうした交感神経が働くシーンは、ほかに頭脳労働や精神的ストレスを受けたときなどがあります。 一方で、副交感神経は主にリラックスしているときに働き、呼吸や心拍数、血圧などを下げます。理想はこの交感神経と副交感神経がバランスよく働くことです。 人間にとって、適度な頭脳労働や運動、ストレスなどは必要です。しかしながら、現代社会では交感神経が働きすぎている現状があります」(工藤先生) 例えば、徹夜で仕事をしたり、嫌なことがあってイライラ、クヨクヨした状態、暑すぎたり寒すぎるといった環境要因でも交感神経が働くそう。 「交感神経が働きすぎると、神経細胞内に活性酸素が大量に発生して細胞にダメージを与えます。これが疲労の原因といわれています。つまり、自律神経を酷使すると疲労が生じるのです。 いつもアクティブで、あまり寝なくても平気で元気そうに見える人でも、自覚がないだけで、実は体も脳も疲れています。体からのSOSを見逃すと、やがて大きな病気になったり、突然死の原因になりかねません。 疲労の予防をしたり、回復させるためには、自律神経への負担を減らすことが何より大切です」