【40代、50代・疲れ知らずの体をつくる生活術①】疲労は生命維持のための体からのSOS!
セロトニンや血糖値も疲労に大きくかかわっている!
また、こうした自律神経の乱れは、次々と疲れの原因となる体の不調を招くのだと工藤先生。 「自律神経のバランスが乱れて、交感神経が優位な状態が続くと、腸のぜん動運動が悪くなるので便秘になります。すると有害物質が血液に乗って全身を巡り、冷えや免疫力の低下が起こり、これが疲労につながります。 また、精神の安定や睡眠と深くかかわっている神経伝達物質であるセロトニンは、そのほとんどが腸でつくられます。しかし腸内環境が悪いとセロトニンが十分に産生されず、やがて、不眠やうつなどの精神症状にも現れることがあります。 良質な睡眠がとれなければ、疲労やうつ症状などは回復しません。セロトニンは副交感神経を優位にする働きもあるので、ますます交感神経が働きすぎる悪循環に陥り、これが続けば、どんどん疲労が蓄積されることになります。 セロトニンが十分に分泌されると、活性酸素を除去するメラトニンという物質が分泌されます。活性酸素は細胞や筋肉の働きを低下させるので、セロトニンを増やすことは疲労回復につながるのです。 もうひとつ、疲労の原因を引き起こす要因に血糖値があります。食事や甘いものを食べると、血糖値が上がります。この血糖値の急上昇と急下降が起こると、インスリンホルモンが大量に分泌され、急激に下がったときに強い空腹感とともに、気分の落ち込みやだるさを感じます」 【疲れの原因】 ●自律神経の疲れ(特に交感神経の使いすぎ) ●腸内環境の悪化 ●免疫力の低下 ●セロトニンの減少 ●血糖値の急上昇・急下降 「こうした要因はすべてつながっています。疲れない体にするには、これらを避ける生活を心がけることが重要です」
【教えてくれたのは】 工藤孝文さん 内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後は大学病院などを経て、現在は福岡県みやま市にある自身のクリニックにて地域医療に注力。専門は糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療、ダイエット治療など多岐にわたり、テレビ・ラジオなどのメディアで医療の最新情報を発信。著書に『「毎日疲れない」にいいこと 超大全』(宝島社)など多数。 イラスト/midorichan 取材・原文/山村浩子