対露エネルギー制裁は「輸出収入」よりも「中長期の開発」に打撃を与える
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ロシアによるウクライナへの 軍事侵攻 が始まって間もなく4カ月が経過する。ウクライナの東部や南部などでは激しい戦闘が続き、ロシアとウクライナの戦争は長期化する様相を見せている。ウクライナの主権を侵害し、「力による一方的な現状変更」を試みるロシアに対して、欧米そして日本は従来に見られなかったほど強力な 経済制裁 を実施しており、その範囲拡大と内容の強化も進めている。 西側の対露制裁の範囲は、金融取引制限、国際決済システムからの排除、海外資産の凍結、対露新規投資の禁止・凍結、ロシアへの技術移転の停止・凍結、貿易制限、特定の個人・主体を対象とした制裁など多岐にわたっている。国家レベルでの制裁に加えて、西側企業はロシアビジネスから撤退を進めており、ロシア経済は、中国やインドなど、西側経済制裁とは一線を画する国々との関係は別として、全体としての孤立化が進みつつある。 こうした状況下、当初の経済制裁実施段階で、通貨ルーブルの急落などロシア経済に大きな動揺が走ったが、その後、ロシア政府のテコ入れもあってルーブルは持ち直し、軍事侵攻前の水準以上に回復するなどの動きも示している。6月に発表された世界銀行の「世界経済見通し」では、2022年のロシア経済は前年比8.9%の大幅マイナス成長となる見通しで、2023年もマイナスが続くとされるが、経済制裁の厳しさと対比すれば、予想されたほど劇的な影響が現れているとは言えない状況ともいえる。
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小山堅