「本当の親は誰なのか」66年前の新生児取り違え、出自を追い求める「20年間」の足跡 都は調査に応じず
●「自分が何者かを知るのは最も基本的な権利」
江蔵さんは墨田区に情報公開請求をするなど独自に調査もしてきたが、開示された資料のほとんどは黒塗り。東京都に粘り強く要望しても「もう片方の家族のプライバシーの問題もある」と取り付く島もなかった。 そこで2021年11月、次なる突破口として、東京都に調査する義務があることを確認する訴訟を起こした。 現在、東京地裁で審理が続いており、江蔵さんは次のような意見を陳述した。 「自分という存在が、一体どのようなご先祖様の歴史を経て生まれてきたのか、父親や母親にはどのような想いで生んでいただいたのか、自分の本当の名前は何なのか、何一つわかりません」 「現状は、真実の両親と私、育ての母親と取り違えられたもう片方の子、それぞれの家族が引き裂かれている状態です。真実の家族が一つとなることができるよう救済してください」 「自分が一体何者なのかを知る権利は、人間であれば誰にとっても、最も基本的な権利だと私は思います」
●92歳になった母親、残された時間に限り
「私が生んだ子どもの顔だけでもみたい」と話していたという江蔵さんの母は92歳になった。認知症の症状が進んで、歩行することが難しくなっており、「とにかく残された時間は限られています」(江蔵さん)。 「これまでの人生を取り戻そうと思っても取り戻せないのが非常に悔しい。昭和33年4月10日前後に墨田産院で生まれた人で、血液型が0型かB型の人がいれば、どうか情報をください」 江蔵さんの次の裁判期日は2025年1月20日午後1時から東京地裁724号法廷であり、本人や専門家への尋問が実施される予定という。 情報提供は、江蔵さんの代理人を務める海渡雄一弁護士と小川隆太郎弁護士の以下の事務所へ。 ・「東京共同法律事務所」(東京都新宿区新宿1-15-9さわだビル5階) ・電 話:03-3341-3133 ・ファックス:03-3355-0445