ドコモはirumoの影響で減益が続くもARPUは上昇傾向 ネットワーク改善は“重層的に”取り組む
dカードにはプラチナカードが登場 数百万規模の会員を目指す
特に好調な金融・決済領域では、取扱高が13%増の78兆1400億円まで拡大。dカードも1809万会員まで到達したが、そのうち1099万がdカード GOLD会員で利益を拡大。真栄田社長は「事業性を加速させるため」として、新たにプラチナカードとして「dカード PLATINUM」を投入する。 年会費は2万9700円(税込み)で、ドコモの通信料金に対して最大20%のポイント還元や最大4万円のクーポン、マネックス証券のdカード積立での最大3.1%ポイント、プライオリティパス年間10回利用などの特典を用意する。 プラチナカードのニーズは以前からあったと前田氏。dカード GOLDの利用額が大きいユーザーも多かったが、これまでdカードの新システム移行に取り組んでおり、それが完了して新カード発行が可能になったこのタイミングでの投入になったと前田氏は説明する。 「年間の利用額が200万円を超えるようだとdカード PLATINUMがお得になる」というのがドコモの試算だが、100万円以上でもさまざまな特典の組み合わせでdカード PLATINUMのターゲットに入ると前田氏。目標会員数については、「だいたいこの手のサービスでは2桁万(数十万)ぐらいだと思うが、われわれは3桁万(数百万)のレベルにしていきたい」と意気込んでいる。
ネットワーク改善は“重層的に”取り組む ブランドスローガンの刷新も
懸案の通信品質について、前田氏は「われわれの全ての事業の根幹となるネットワーク」と強調する。5GのSub6エリアを都市部中心に拡大しているドコモは、全国のエリアは4キャリアでナンバー1だとアピール。このSub6エリアの拡大に対して、4Gを転用した5Gエリアも活用して、「さらに厚みのあるネットワークとして、お客さまの期待する体感品質を提供する」と前田氏は話す。 特に1都3県を中心とした人口密集エリアに対して、Sub6と転用5Gの基地局数はともに2024年3月から9月にかけて10%増。これを2025年3月までにそれぞれ30%、40%の増加を図る。東名阪、福岡などの主要都市中心部のSub6基地局数はさらに拡大。鉄道の主要同線でも数を増やす。結果として、主要都市中心部の3分の2以上で100Mbps以上のスループットを達成し、渋谷駅や大阪駅、名古屋駅、山手線といった場所でスループットが向上しているという。 さらにイベントでの対策も強化。こうした取り組みはドコモのサイトでも公表していく。全国的な取り組みだけでなく地域ごとの取り組みも掲載していくという。 結果として、Opensignalによるネットワーク調査を指標の1つとして、前田氏は年度末までに1位を取ると宣言しているが、「急ピッチに取り組みをしている」という。Opensignalとのやりとりで「どこが悪いのか、データで確認している」ということで、順次問題を解消していく意気込み。「年度末までの間にかなり向上していることを見込んでいる」(前田氏)。 急ピッチでの拡大であるために、基地局の場所の確保や工事でも苦労をしている面はあるとしつつ、継続して取り組みを進める。他にも基地局のチューニングやd払いアプリを使って店舗での通信品質を調査してレピーターを設置するなど、細かな取り組みも進めて「重層的に幅広くやっていく」と前田氏は話す。 また、同社ではブランドスローガンを刷新する。既に発表しているグループビジョン「テクノロジーと人間力で新しいつながりを生み、心躍る価値創造で、世界を豊かに、幸せに」にも関連する「つなごう。驚きを。幸せを。」というもので、「特にこだわったのはビジョンの中心にある『つなぐ』という言葉と『驚き』という言葉」と前田氏は言う。 「ドコモグループが提供する価値に触れたときに、お客さまがイノベーション、つまり新しいものに触れたときに感じるとうれしい驚き、これを生み出して、それが定着していくことで世の中が幸せになる。そんな未来をグループ一丸となって生み出していきたいという合言葉」と前田氏は説明した。
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