タイ代表・石井正忠監督の初陣で“混合サポーター”が作り出した熱狂。伝説となった「神対応」と二つの幸せな関係
日本サッカーとタイサッカーが育んできた幸せな関係
話を1月1日に戻そう。タイのコールリーダーを務めるリムさんは、日本語で次のような横断幕を国立競技場のスタジアムに掲出した。 「にほんとJFAのゆうじょうにかんしゃ」 「石井正忠かんとくと共に!」 「明けましておめでとう2024」 今回リムさんの来日に際し、Jリーグのサポーターが多くの手助けをしている。リムさんは、タイという国をスポーツで活性化したいと活動しているサポーターだ。そんなリムさんが、川崎フロンターレのサポーターである井上梨紗さんの協力を得て日本語の横断幕を作成した。井上さんは日本語の監修と横断幕の作成を手伝うだけでなく、試合当日の横断幕と太鼓のスタジアム内への持ち込みなどでもJFAと調整するなどリムさんをサポートした。 鹿島のサポーターである板谷浩男さんは「石井さんなら絶対公開練習にするはずだからタイ代表の練習を見にいこう」とタイ代表の練習にアテンドした。長年タイ代表を追いかけるリムさんでも練習を見られたのは初めてだったという。 タイの応援席には、鹿島サポーターのみならず、浦和レッズ、北海道コンサドーレ札幌、川崎フロンターレ、横浜F・マリノスの日本人サポーターが来ていた。いずれもタイ人選手が在籍したことのあるチームである。サッカーの素晴らしいところは国を代表して真剣に戦いつつも、一方で国を超えて協力し合えるところにある。 90分間続いたあの熱狂的なタイ代表サポーターの応援は、日本サッカーとタイサッカーが育んできた幸せな関係があってこそ生まれたものだ。次なる目標は「石井監督と共にワールドカップへ」。 <了>
文=池田タツ