「数ヵ月に2度も」…一つの窃盗団で2億超!「太陽光ケーブル盗難被害者が窮状告白」生々しい現場写真
無残に切られた電線管、荒らされた変換装置……。掲載したのは、太陽光のケーブルが強奪された生々しい現場写真だ。 「数ヵ月に二度も」…一つの窃盗団で2億超「太陽光ケーブル盗難被害」生々しい現場写真 「数ヵ月の間に2度も電線ケーブルを盗まれました……。本当に何とかしてほしい」 被害に遭った、山梨県北斗市で太陽光発電事業を営む吉田愛一郎氏が憤まんやるかたない様子で窮状を告白する。 1度目の盗難は今年4月。吉田氏が所有する太陽光施設から電線ケーブルおよそ50mが盗まれた。 「太陽光パネルとパワーコンディショナー(変換装置)は、樹脂製の電線管に入ったケーブルで接続されています。夜中に侵入した泥棒はその管をカッターで切り裂き、ケーブルを50mほど引き抜いていったのです」 無くなったぶんのケーブルを購入して施設は復旧。再び盗まれないよう防犯対策をしたつもりだったが、7月に再度狙われた。 「電線管内部のところどころにウレタンを吹き付けてケーブルが引き抜きづらくなるようにしました。ところが窃盗団は管のあちこちを切り裂き、またケーブルを引き抜いていったんです。修理が終わるまで売電はできないし、損害は数百万円に上ります。全国的に太陽光施設のケーブル盗難が増えているため、保険会社からは更新を拒否されるでしょう。こんな状態が続けば事業として成り立ちません」(吉田氏) ◆泥棒にとって『宝の山』 窃盗団が狙いを定めるのは、電線ケーブルに銅が含まれているためだ。スクラップヤードに持ち込むと買い取りしてくれ、太さにもよるが1mあたり1000円から1200円程度になる。中には1000m近く盗みだすケースもあり、買取額は100万円を超える。業者が買い取る際に身分確認を義務付ける条例のない自治体が31都府県あり、泥棒たちにとって太陽光施設は『宝の山』となっているという。 警察庁によると、’23年の銅線を含む金属盗の認知件数は約1万6000件で前年より6割増えた。 「ここ数年で太陽光施設が盗難被害に遭う件数は急増し、今年は早くも昨年1年間の件数を超える勢いです。犯行に外国人グループが関わっているケースも多く、約80件の盗みを行ったとして昨年茨城県警に逮捕されたのもカンボジア人グループでした。この犯人たちが盗んだケーブル等の被害総額は2億7000万円に上っています」(全国紙社会部記者) 被害に遭った別の太陽光事業者によると、窃盗団は顔が分からないよう帽子などを被っていることも多く、防犯カメラもあまり意味がないという。もともと太陽光施設は山間部など人が少ない場所に設置されるため、目立たずに犯行を重ねることができる。防犯対策としてアラーム付きの人感センサーもあるが、敷地が広ければ数百万円単位の費用がかかるため導入に二の足を踏む事業者も多い。 前出の吉田氏が困惑しながら話す。 「犯人たちはなかなか捕まらず、盗難は増える一方です。これ以上盗まれないようにするにはケーブルの抜き取りができないよう鉄製の管を使い、自警団を組織して日夜見回りをするしかありません」 抜本的な盗難対策の強化を急がないと、再生可能エネルギーの普及にもブレーキがかかりかねない状況だ。 取材・文・撮影:形山昌由 ジャーナリスト
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