花火大会の経済学/費用や経済効果は?
夏のイベントといえば、やはり花火大会は外せません。都内の大規模な大会では7月20日の「足立の花火」がすでに開催されました。27日には打ち上げ数2万2500発、100万人に迫る人出が予想される「隅田川花火大会」も控えています。こういった花火大会は、私たちに楽しさを提供してくれるだけではなく、観光や商業といった面から見ても大きな効果が期待できます。
有料指定席の活用も
大規模な花火大会を開催するには、花火そのものの費用のほか、会場の設営や安全対策などにも相当なコストがかかります。たとえば、日本でも指折りの花火大会がおこなわれる「長岡まつり」(新潟県長岡市)の昨年の収支報告によると、「花火行事費」として1億8006万円、「会場設営費」として1億1719万円、「安全対策費」として7197万円もの支出が計上されています。 こういった支出をまかなう収入は、協賛金や補助金、寄付金が中心になります。しかし、近年は補助金をカットされたり、協賛金が思うように集まらなかったりして、規模の縮小や廃止に追い込まれる花火大会も少なくありません。たとえば7月6日に浜松市でおこなわれた「弁天島海開き花火大会」は、不況による協賛金の減少によって、記念すべき第50回目となる今回を最後に、その歴史に幕を下ろすことになりました。 いっぽうで、主催者側も資金集めに知恵を絞っており、なかでも有料指定席の活用は重視されています。今年の「長岡まつり」の大花火大会では、8月2日、3日の有料指定席を2万8962席販売していますが、席数の4.2倍となる12万1145席分もの申し込みが殺到したといいます。昨年の「長岡まつり」の収支報告によると、観覧席料の収入は1億5908万円。花火大会を運営するための欠かせない収入源であることがわかります。 大きな花火大会では数億円規模にもなる運営費。観客の消費をはじめとする経済効果は、その数十倍にものぼることがあります。