【マンガでわかる知識創造】「ジャパンアズナンバーワン」 と賞された日本企業の強さの秘密は何だったのか
違いの2つめは、目的にあります。狭い意味でのナレッジ マネジメントの目的は、すでにある知識やこれから創られる知識を蓄積して、業務改善に利活用することです。一方のナレッジ ベースド マネジメントの目的は、知識の創造によって、価値ある商品やサービスを新たに創造することにあります。チャールズ・A・オライリーとマイケル・L・タッシュマンの提唱する両利きの経営(既存事業を強化する深化と新規事業を開拓する探索を両輪とする経営)に当てはめると、ナレッジ マネジメントは「知の深化」、ナレッジ ベースド マネジメントは「知の探索」と「知の深化」の両方を行う、といってよいかもしれません。 違いの3つ目は、扱う対象にあります。知識をモノとして管理するには、言語化して取り扱えるようにしなければなりません。一方、知識をコトとしてとらえようとすると、言語化しづらいものも含むため、取り扱いにくいということになります。言語化しづらいところに、モノゴトの本質がある場合もあるので、言語化した知識だけがすべてだと思わず、行間を読んだり、背景を想像したりすることが必要になります。 最後に、違いの4つめは、何の方法を示すかという点です。ナレッジ マネジメントは知識を管理する方法を示しますが、ナレッジ ベースド マネジメントは知識を創造するプロセスや仕組みを作る方法を示します。 整理すると下の図のようになります。どちらか一方でよいとか、どちらかがすぐれているということではなく、状況や意図の違いによって使い分けることが重要です。 ムラサメ君は、水上さんの「図書館」を狭い意味でのナレッジ マネジメントととらえたようですが、水上さんの反応を見ると、水上さんはまだこの違いをわかっていなそうです。今後どうなるのか注目したいと思います。
西原(廣瀬)文乃