【マンガでわかる知識創造】「ジャパンアズナンバーワン」 と賞された日本企業の強さの秘密は何だったのか
英語版には副題がついています。「How Japanese Companies Create the Dynamics of Innovation」。訳すと、「日本企業はいかにしてイノベーションのダイナミクスを創り出すのか」となります。つまり、当初から知識創造理論は、「ナレッジをマネジメントする」という理論ではなく、イノベーションの理論として提唱されていたのです。 『知識創造企業』で研究対象となったのは、ホンダ、キヤノン、松下電器産業、NEC、日産、花王、シャープ、マツダ、富士ゼロックス、新キャタピラー三菱などの日本企業と、3MやGEなどのアメリカ企業、そしてアメリカ海兵隊でした(名称は刊行当時のもの)。研究のため、製品開発の部門やプロジェクトの現場のマネジャーたち約130人へのインタビューが行われています。野中先生と竹内先生の関心が知識を創っている現場・現物・現実に向かっていたこと、日本企業の強さの秘密を明らかにしたいと思っていたことなどを表していると思います。 ■ ナレッジ マネジメントとナレッジ ベースド マネジメントの違い さて、ムラサメ君は、「知識創造理論の実践方法の1つがナレッジ マネジメントだと思う」と言っていましたね。これについて、少し解説を加えたいと思います。「ナレッジ マネジメント」という用語のほかに、「ナレッジ ベースド マネジメント」という用語があるためです。広い意味でのナレッジマネジメントは両方を含むので、同じ意味で使われることも多いのですが、違いを明らかにしておきたいと思います。 狭い意味でのナレッジ マネジメントは、ひと言でいうと、知識の管理や利活用のことです。知識を静的で固定化されたモノとして扱い、ノウハウを言語化して、データベースなどに集めて管理します。 一方のナレッジ ベースド マネジメントは、ひと言でいうと、知識創造によるイノベーションのことです。知識を動的で流動的なコトとして扱い、言語化が難しいノウハウも含めて共有し、新たな知識を創造するためのプロセスや仕組みを作ります。 つまり、違いの1つめは、狭い意味のナレッジ マネジメントは知識をモノとしてとらえているのに対して、ナレッジ ベースド マネジメントは、知識をコトとしてとらえている点にあります。