ドラフト5位指名も「交渉しません」…ヤクルトのレジェンド・松岡弘氏が明かした入団裏話 高校の1年先輩・星野仙一氏は当時から変な意味で有名人!?
2試合目でプロの洗礼
昭和43年8月にサンケイに入団した松岡氏だったが、1年目の成績は散々なものだった。 松岡: これがプロかと思いましたよ。初登板は10月1日の巨人戦で2イニングを1失点。次に巨人との最終戦で先発したのはいいんだけど、2試合目の登板のときはもう全然違いましたから。 徳光: どういうことですか。 松岡: 土井(正三)さんのバントでアウトひとつ取っただけなんです。自責点が5で、1回ももたずにノックアウト。それでそのままファームですよ。
“魔術師”三原修監督の言葉
1年目は0勝、2年目8勝、3年目4勝と伸び悩んでいた松岡氏だが、4年目の昭和46年に14勝と一気に開花する。この年からヤクルトの指揮を執ったのは三原修氏。巨人、西鉄、大洋、近鉄、ヤクルトの監督を歴任し、卓越した選手起用と名采配で“魔術師”の異名をとった伝説の名監督だ。 松岡: 監督が三原さんになったっていうことが、一つの大きな転機。三原さんからの教えは一言だけ。もう簡単なことなんですよ。僕、どんどん近めに投げるようになった。 徳光: インコースに。 松岡: 「その勇気がなきゃ、お前は勝てないよ」って言ってくれたのは三原さんなんです。「勇気を持て」って言われた。その一言。「当てるボールが投げられる勇気を持ちなさい」。 徳光: それは、インコースを攻めろと。それまであんまりインコースを攻めてなかったんだ。 松岡: というか怖くてインコースを攻める勇気がなかったです。それまでは安全に攻めてばっかりだから、バッターに踏み込まれる。 やってみなさいっていうこと。考えたってできなきゃ何にもならない。 徳光: すごいのは「具体的にここを攻めろ」と言うんじゃなくて、「勇気を持て」っていう一言で松岡弘が何を考えるかっていうことを…。 松岡: 見てたんですね。三原さんってそういう人ですよね。 徳光: そのきっかけを与えるところが、すごい指導者なんですね。 (BSフジ「プロ野球レジェン堂」 24/6/18より) 【後編に続く】
プロ野球レジェン堂
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