米ドル/円「1ドル148円より円高」は当面なさそう?…米ドル/円は「1ドル151.9円」目指して一段の円安か【国際金融アナリストが考察】
米国ではインフレ圧力の高まりを受けて米金利が上昇するなか、為替市場では米ドル高・円安が進んでいます。こうしたなか、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は、「米ドル/円相場は1ドル148円台が下限となり、米ドル上限(円安の限界)を模索していく」といいます。2022年、2023年に続いて「1ドル151円台の円安」は訪れるのか、詳しくみていきましょう。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
2月20日~26日の「FX投資戦略」ポイント
〈ポイント〉 ・先週は米インフレ指標の上ぶれをきっかけに米金利がこの間のレンジを上放れ、米ドル/円も約3ヵ月ぶりに150円台乗せとなった。 ・強い米景気にインフレ再燃もテーマに追加されたことで、米金利上昇を手掛かりに米ドル高値151円台をにらむ神経質な展開が続きそう。 ・今週の米ドル/円は148~151.5円中心で想定。
先週の振り返り…米ドル/円、約3ヵ月ぶりに150円台乗せ
先週の米ドル/円は、とくにCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)といった米国のインフレ指標が大きく予想を上ぶれる結果となったことを受けて、米金利が大きく上昇したことに連れる形で、2023年11月中旬以来、約3ヵ月ぶりに150円を超える上昇となりました(図表1、2参照)。 米ドル/円の行方を考える上で大きな目安になる米金利ですが、先週の急上昇により、この間続いたレンジを上放れたようになりました。たとえば米長期金利の10年債利回りは、2023年12月中旬以降、約2ヵ月に渡り4%前後、具体的には3.8~4.2%弱中心のレンジで一進一退が続いてきましたが、先週はそれを大きく上抜けたようになりました(図表3参照)。 このようにレンジを上抜けた場合、基本的にはそれまでのレンジ上限にサポートされる形でさらなる上値の模索が続く可能性が高くなります。その意味では、米10年債利回りは当面4.2%前後が下限となり、上昇余地を試す可能性が高そうです。 日米の10年債利回りは基本的に連動するので、米10年債利回りが当面4.2%前後を下限とするなら、日本の10年債利回りは0.7%前後が下限になると予想されます(図表4参照)。 以上からすると、日米10年債利回り差米ドル優位は3.5%前後が下限といった見通しになるので、それを最近の関係に合わせると、米ドル/円は148円台を下限として米ドル上値の模索が続くといった見通しになるでしょう。