なり手不足深刻の長野県内の町村議会、議員報酬引き上げ相次ぐ…全国ワースト2位の低水準
議員のなり手不足を解消しようと、長野県内の町村議会では先月、議員報酬を引き上げる動きが相次いだ。全国比で報酬が低水準なことが背景にある。一方で若者世代の報酬を重点的に引き上げる動きは公平性に疑問符が付いて廃止されるなど、人材確保の取り組みは試行錯誤が続く。専門家は引き上げだけでは効果は不十分だとし、「将来的には、広域での議会運営の議論が必要になる」と指摘する。
地方議会での報酬は、議長や副議長、常任委員長と、その他議員などで金額が異なることが一般的だ。全国町村議会議長会による調査(2023年7月時点)によると、県内58町村議会の議員報酬の平均額は、特段の議会役職につかない議員を基準として17万6286円。全国平均の21万8218円を大幅に下回り、山梨県(15万9000円)についで47都道府県でワースト2位の低水準だ。自治体別では、売木村12万4000円、栄村12万9000円、平谷村13万5000円など、11町村で15万円未満に抑えられている。
一方で、なり手不足は深刻さを増すばかりだ。昨年の統一地方選では、27町村議選のうち10町村で無投票で、このうち下條、南牧、大桑、木島平の4村が定数割れとなった。低額な議員報酬が一因になっているとの見方から、全国的に引き上げの議論が進んでいる。
県内町村の12月議会では、飯綱町が月額報酬で4万6000円増の22万円、佐久穂町が3万3000円増の21万8000円、青木村が6万円増の22万4000円とする条例改正案をいずれも可決した。飯綱町議会では、21年の町議選が、町が誕生した05年以降初めて無投票となり、「残念だった」という住民アンケートなどを踏まえて議論。同時に、定数を1減らして14にした。佐久穂町議会では、「佐久地方の町村議会は、高齢の男性議員が大半を占めるという課題がある。子育て世代、現役世代の議会参画を促すためにも報酬の増額は必要」との意見があがった。