なり手不足深刻の長野県内の町村議会、議員報酬引き上げ相次ぐ…全国ワースト2位の低水準
一方、月額報酬を1万7600円増の21万5600円とする条例改正案が賛成多数で可決された飯島町議会では、若手の立候補を促そうと一部議員によって提出された、子育て世代の報酬額を重点的に引き上げる修正案が、「一律であるのが望ましい」との意見が出て、否決される一幕もあった。生坂村議会でも、55歳以下の議員に限り18万円から30万円に引き上げられていた現行の月額報酬を、一律21万5000円に変更する条例改正案が賛成多数で可決。若手議員の不祥事などもあり、村民へのアンケートでは見直しを求める声が半数を上回ったという。県内では同様の金額設定が、中川村で行われている。
栄村では、村議会の特別委員会が、月額報酬を6万5500円増の19万4500円に引き上げることを盛り込んだ調査報告書を議長に提出。村の審議会を経て、来年3月定例会で関連条例案が提出される見通しだ。
多くの町村議会の議員報酬について、東北大の河村和徳准教授(政治学)は、「『地元の名士』と呼ばれたような高所得者たちが議員をしていた時代の名残で低水準になっている」と指摘。一方で、人口減少や企業や公務員の定年延長により、なり手の確保は厳しさを増すとの見方を示し、「報酬の引き上げは短期的な効果しか持ち得ない。将来的には、複数の自治体の議員でつくる広域連合議会の役割を拡大するなど、さらなる活用を検討することも一案だ」と話している。