岡田将生・羽村仁成主演「ゴールド・ボーイ」中国から沖縄に舞台を変えた映画版 衝撃のサプライズをぜひ原作で!
■中国ノワールを日本に翻案! 小説と映画、ここが違う
この映画の最大の特徴は、中国の小説をそのまま日本に置き換えた、という点にある。犯罪者を目撃していた少年たちが脅迫するという骨子自体は国を選ばないが、社会システムや文化の違いは当然あるので、そこをどう日本に合わせてくるのかなというのが映画を見る前の大きな興味だった。 で、舞台を沖縄にしたというところで、なるほどと思ったね。最初の犯罪のロケーションもそうだし、たとえば原作と映画の両方に出てくるお墓参りの場面。中国のお墓参りの風習は日本とは異なるけれど、沖縄には似たような風習があるのだという。また墓地の環境も、なるほど沖縄ならこれができると深く頷いてしまった。 他の様々な要素も適宜日本風に変えた上で、それでもまったく違和感なく日本の物語として成立していたのだが、ひとつだけ、原作を読んでいてこれは日本ではやらないだろうなと思っていた場面があった。原作ではいい大人が他者に対する嫌がらせとして糞尿を浴びせるのだ。他にも何箇所か、攻撃に糞尿を使う場面があったり脅しの言葉として使ったりする場面があって、「真っ先に思いつく攻撃がそれなの?」となんだか面白くなってしまった。そもそもどうやって用意するんだ。水洗トイレや下水が普及してたら大量に(! )集めることからして無理だよね? はい、映画には出てきませんでした。出てきても困るけど。名前とか社会システムとかより、こういった身近(? )な違いの方が翻訳モノは面白かったりするのよ。 ではストーリーの改変はどうだったか。いや、けっこう大きな違いがあったのよ。ひとつは朱朝陽と丁浩・普普が会ってから起きる最初の事件が、映画では再会前に既に決着済みだったこと。原作既読組はまずこの時点で「あれ?」と思うよね。ということは──そういうことだ。映画だけ見て原作未読の人は、ぜひ原作を読んでほしい。時系列が変わっただけなのだが、これはけっこう大きな意味がある。 最も大きな違いはラストだ。結末が違う! 事件の真相自体は原作と同じなのだが、映画には原作に存在しない「続き」があると思ってくれればいい。これね、かなり大きな違いで、原作は「これからどんな未来が待っているかはわからない」というオープンエンディング的な終わり方をするんだけど、映画ではそこにひとつの明確な結末を用意したわけだ。
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