建築家が設計したアートを飾るための家。カラフルなのになぜかまとまって見える理由は…
複雑な色合いを見せるリビング・ダイニング
これだけの色や素材を多用しながら、どこかまとまりを感じられるのはなぜでしょうか。その理由を園田さんは「特徴的な形を繰り返し用い、ちょっとしたつながりをちりばめているから」と説明します。 たとえば、リビングの三角形の窓と相似形のアクリルミラーを階段裏に貼ったり、キッチンのタイルの模様をトレースして洗面室にゆがんだ楕円のような鏡をデザインしたり。そんな遊び心がちりばめられています。
住んでからの驚きは、曇ったときのハイサイドライトの光だそう。オレンジの光が側面のパンチングメタルにふわりとまとわりつくように広がります。 「南側の開口にオレンジの色ガラスを入れたのは大成功でした。色をまとった光が壁に当たり、その変化から季節を感じられるようになりました」とTさん。 太陽の高度が低い冬は、リビング奥の和室まで光が入り込み、オレンジと緑の光が重なり合います。透過する色ガラスだからこそ、複雑な色の変化を楽しめます。 空間からインスピレーションを得て、季節や気分に合わせアートや小物を選びます。それはまるで暮らしというキャンバスで日々変化していくアートのようです。 「絵画の中に生きているよう」という夫妻の言葉がそれを物語っています。