大黒柱が不在の中、数少ない4年生として…… 落ち込んだとき、LINEや手紙で励ましてくれたのは頼もしい後輩たち
新人インカレ優勝後、チームを引き締め
今季のチームは下級生が多い。この日のスタート5人は全員が3年生以下で、コートに立った4年生は江頭とセンターの中野雛菜(4年、東海大相模)のみ。チームの大黒柱で本来は主将の江村優有(4年、桜花学園)は5月、パリオリンピックをめざした3x3のオーストリア戦で左ひざを負傷。今季の復帰が難しいほどの大ケガで、秋の関東リーグ戦だけでなく、インカレもベンチから外れていた。 江村がいない中で、どうチームを作るのか。江頭は「プレーができない分、外からたくさん声をかけてくれた。練習中もわざわざ止めて伝えてくれたり、アジャストのときも積極的に発言してくれたりする。彼女が持つ知識を教えてくれて、それを聞いた自分や選手がコートで表現する。役割を明確に決めたわけではないんですけど、自然とそういうチームになった1年間でした」と話す。 チームは今夏、1、2年生で構成する第2回全日本大学バスケットボール新人戦(新人インカレ)で優勝を果たした。チームが勢いづく一方、1、2年生には「これで日本一になれるんだ」という雰囲気もあり、「このレベルでは最後のインカレで優勝できないよ」と引き締めたのも江村をはじめとした4年生だった。「新人インカレ優勝はすごいことだし、自信にもつながる。けど『日本一のレベルはもっと上』ということを伝えたかったんです」
「自分がやらなきゃ」と背負いすぎていた
江村が抜けてから、江頭個人としては悩みもあった。「たぶん『4年生の自分がやらなきゃ』と背負いすぎていたんだと思います」。誰よりもハードワークを怠らず、ルーズボールやリバウンドに飛び込んだり、ディフェンスを頑張ったりといった「誰でもできることを強気に」こそが江頭の信条。しかし、関東リーグ戦ではなりを潜め、当初こそスタートで起用されていたものの、リーグ中盤から途中スタートとなった。「スタートを外れたときも『やばい、やばい。試合で示さなきゃいけないのに』と。自分にプレッシャーをかけてしまって、逆に思い切りプレーできなくて……。自分の弱さです」 苦しい心境の中で支えになってくれたのは、後輩たちだった。落ち込んでる時期に「それでも頑張るリリさんを私は見ているから」と声をかけてくれたり、励ましのメッセージをLINEや手紙でくれたりした。「もう嫌だって投げ出しそうになったときでも、そういうことを言われると『いや、やらなきゃ』と。気持ちをつないでくれたのは後輩たちでした」 試合が終わると、後輩や同期一人ひとりと言葉をかわし、ハグをする姿も見られた。大西真由監督からねぎらわれたときだけは、目頭を押さえた。「苦しい時間の方が多かったけど、頑張ってきて良かったと思いました」。5分弱のプレータイムだったが、その分、全力で応援してチームをもり立てた江頭。自分たちが目指した〝日本一〟の夢は、頼もしい後輩たちに託す。
第76回全日本大学バスケットボール選手権大会 女子準々決勝
12月6日@国立代々木競技場第二体育館(東京) 東京医療保健大学 100-91 早稲田大学
井上翔太