柔道・野村忠宏の引退会見全文3「康介と対面した時は」
北島康介選手と対面したときの気持ちは?
フジテレビ:2点、もうちょっとお伺いしたいんですけれども、試合後、北島選手と対面されたときに、すごく涙が出てたと思うんですけども、そのときこみ上げてくるものっていうのはなんかあるんでしょうか。 野村:そうですね。会場で試合で負けたあとよりも、やっぱり会場で最後、応援に来てくださった皆さんにごあいさつに行くときに、ああ俺、自分は間違いなく泣くなと思ってたんですけど、もう絶対泣かへんぞって、絶対笑顔で、笑顔を貫くぞと思ってたんですけど、まあ今日はたぶん無理やろうなってね、そういう思いでごあいさつに行って、そこで両親の顔を見て、家族の顔を見て、その時点でもう完全にもう、涙腺というか、もうそういうのは完全に駄目になって、そこに康介でしょ。康介っていうのは、自分を慕ってくれるアスリートがいっぱいいる中でも、やっぱり北島康介っていうのは自分の中でも特別な存在だったし、だからその康介が、こんなに仲いいのに今まで1回も試合を応援に、やっと来てくれて、自分の柔道、最後の柔道っていうのを見てくれた中で花束を渡してくれて。もうどうしてもね、泣いちゃいましたね。 やっぱり家族と対面したときと違う、アスリートとしてね、今まで本当に競技は違えどいろんなものを背負って、いろんなものと向き合ってきて、世界で戦ってきた後輩であり、親友であり、大切な仲間の北島康介がああいう形で自分を迎えてくれて、お疲れさまでしたって声を掛けてくれたっていうのはまあ、ね、うれしかったし。 ただ、あいつはまだ、北島選手はリオに向けてまだチャレンジの最中だし、俺の、自分ね、野村忠宏の柔道家としての戦いは終わったけど、おまえはもう一勝負あるぞ。そういう思いで花束をいただきました。 フジテレビ:ありがとうございます。もう1点なんですけれども、厳しい練習の中で自分自身をいじめ抜いて培ってきた強さだと思うんですけれども、引退ということになって、もしご自身に声、言葉を掛けるなら、どんな言葉を自分自身に掛けてあげたいですか。 野村:どうでしょうね。もうちょっと頑張れたんちゃうなっていう言葉もあるし、やっぱそれ以上に、本当、なんて言うんでしょう、お疲れさんって、まあ一言でしょうね。特にやっぱり、自分の心じゃなくて体にお疲れさんって。だいぶ、やっぱ心っていうのはさっき言ったみたいに、すごく強くなったと思うんですよ。昔から強かったわけじゃなくて、いろんなものと向き合って、いろんなものを乗り越えて、ちょっとずつだけど強くなってきたんですね。 ただやっぱ体っていうのは消耗品で、自分の柔道への思い、心に付き合ってくれたこの体っていうのには、お疲れさん、今までありがとうって、そういう言葉を掛けたいですね。 フジテレビ:ありがとうございました。