柔道・野村忠宏の引退会見全文3「康介と対面した時は」
本当にもう、何回か引退っていうのを意識した
朝日放送:じゃあ、痛さで飛んじゃってっていうよりも、もう悔いなく本当に最後。 野村:そうです。本当に豪快に投げられました。まあ、実際練習してて、痛み止めの、長期間に痛み止めの薬飲んで、痛みがない状態でも、普段の練習でも何か、例えばこれも右膝が今回、悪くなったので、右膝に技をかけられたときに、痛みは感じないけどやっぱり自分の反応ですね。反応でやっぱり、ああ、この動きの中で無理して技を耐えたら膝を痛めるっていうのを反応として感じたときに、そんなに大した技じゃないんですけども、自分の防御反応が働いて、あっけなく放り投げられる。そういうときも練習の中ではあったんですね。それがもう自分でコントロールできないようになったんで、それだけは試合で出ないでほしいなと。そういう思いを持って試合したんですけども、最後、投げられたときっていうのはそういう防御反応じゃなくて、力で投げられたという思いです。 朝日放送:もうちょっといいですか。先ほど、体の限界が先か心の限界が先かと。で、若いときというか、ずっと、本も『折れない心』って書いてはったと思うんですけども、もうどっちかというとずっと心と戦いみたいな、やってて、最後まで折れなかった、折れないような、例えばなんかあるんですか。 野村:本当にもう、何回か引退っていうのを意識したっていうのもあるし、逃げ出したい。実際、逃げ出したときもあったしね。シドニーのあとっていうのは2年間、柔道から離れたし、決して折れなかったことはないけども、立ち止まったことはあっても、真剣にやってりゃ、試合であろうが練習であろうが、投げられたらすごい悔しいんですよね。負けたらすごい悔しいです。そこでやっぱりその悔しさっていうのを自分はすごい大事にしてきて、なにくそって思いでやってきて、立ち止まること、一歩二歩下がることはあったけども、なにくそって、その悔しさっていうのを自分の中でエネルギーにして、もっとうまくなる。悔しいからうまくなりたい、強くなりたい。その柔道への情熱っていうのは、負ければ負けるほど熱くなっていったし、強くなっていったし。そういう思いで柔道と向き合ってきたら、気が付いたらすごい心が強くなってましたね。