柔道・野村忠宏の引退会見全文3「康介と対面した時は」
柔道・野村忠宏の引退会見全文3「康介と対面した時は」 THEPAGE大阪
前人未到の五輪柔道3連覇を果たし、31日に現役引退会見を行った野村忠宏(40=ミキハウス)。約2時間弱に及ぶ会見の中で、引退を意識し始めた時のこと。また、家族への思い、そして今後のことについても多くの質問が飛んだ。
野村愛を持ってる選手はいっぱいいますね(笑)
テレビ東京:引退を決断されるときに、これまで野村さんを支えてくれたご家族、奥さんにどのような言葉を掛けたのか、教えていただければありがたいです。 野村:直接、引退を発表するってなる前に伝えなきゃいけない人たちにはその思いっていうのを伝えたんですけど、直接伝えに、私は自分自身が直接、メールとかいろんな形で伝えたりもしたんですけど、直接自分が言ったのは少ないんですよね。一番最初に自分の師匠であって、世界チャンピオンに育ててくださった細川先生、そしてミキハウスの木村社長、あとは家族ですね。家族にはどうも照れくさくて、結局一番最後になって、引退発表のもう2日ぐらい前になっちゃいましたね。もう一言、今回の試合で最後にするよって、ありがとうって、本当にそれだけだったですね。 テレビ東京:すいません、もう1問お願いしたいんですが、実際今、阿部一二三くんとか、野村さんを尊敬してやまないと公言している選手の方、非常に多いですけども。 野村:野村愛を持ってる選手はいっぱいいますね(笑)
憧れを持ってくれたというのはうれしい
テレビ東京:そんな後輩たちに何を、今、指導者としてというよりは、柔道に対する思いみたいなもの、どういうことを伝えたいのかというのと、よく、冗談も交えて言いますけど、俺のほうが強いと野村さんよくおっしゃいますけど、そういう思いもあるのかどうか、みたいなことをちょっとお伺いできればと。 野村:本当に実業団の試合にも、阿部選手であったり高松選手であったり、リオオリンピック、東京オリンピックに大きな期待を持てる選手たち、軽量級の選手たちが最後に尊敬する、憧れの選手の試合を見たいと。 今の質問で言えば、自分の今、持ってる力と彼らの持ってる力を比較したら全然弱いと思います。彼らが参考になるような試合もできないかもしれない、今の自分の力では。ただ、それでもやっぱり自分の最後の試合を見たいと来てくれたっていうことはすごいやっぱうれしいし、自分のやってきた柔道、残してきた柔道っていうのをこんなに多くの選手たちが見てくれて、憧れを持ってくれたっていうのはうれしいですよね。 そういう選手たちがこれから、やっぱり今でも軽量級といえば野村、3連覇した野村っていうのが柔道の中で大きな名前になってますから、それを超えるような選手、多くの人たち、柔道ファンだけじゃなくて日本中の人たちを魅了するような大きな柔道、魅力的な柔道を、そして何よりも厳しい気持ちを持って、チャンピオンになれる力を持った選手になってほしい。その中で自分が経験したこと、技術的なものもそうだし、オリンピックまでの心のつくり方、そういうものを求められれば伝えていきたいと思うし。これからは本当に、自分が主役じゃなくて、若い選手たちを主役に引き上げる仕事をしていきたいなと、そういうふうに思ってます。