売上高4500億円に…IHI、「民間エンジン事業」修理・整備に磨きかける
IHIは民間エンジン事業の強化に向けて、鶴ケ島工場(埼玉県鶴ケ島市)でのエンジン修理・整備(MRO)能力向上や付加価値の高い修理技術の開発に取り組む。航空機エンジンの開発・製造に加え、旅客機需要の増大を背景とするアフターマーケット市場の成長を取り込み、中長期での収益基盤確立につなげる。これらの取り組みを通じて2030年度に同事業の売上高を23年度比1・8倍の4500億円に引き上げる。 【写真】IHIの次世代航空機向け「エンジン内蔵型電動機」 23日に開いた航空・宇宙・防衛事業領域説明会で、佐藤篤常務執行役員は40年度までを「トップライングロース(売上高の成長)を優先させる時期」と説明。その上で「市場の成長を取り込みたい」との考えを示した。鶴ケ島工場ではMROの需要増加に対応するための体制整備を進めており、「新たな投資についても社内で考えている」(佐藤常務執行役員)。 これまで培ってきた技術力を生かし、航空機エンジンの研究開発・設計や部品製造、スペアパーツ供給などの中核事業から、素形材製造やエンジン整備・部品修理に事業を拡大する。これにより独自の付加価値の創出を図る。 旅客機市場では、IHIが関わる航空機エンジン「PW1100G―JM」などが搭載される中・小型機の需要が年率2・9%で拡大する見通しだ。同社は航空・宇宙・防衛事業領域全体について、売上高を30年度に8000億円、40年度に1兆円とする計画を掲げている。