「ポルシェ・デザイン」の名作クロノグラフが限定復刻! 往年のプロダクトデザインの魅力を実感
腕時計のプロたちが魅了された一本をリコメンドする本企画。今回は時計ジャーナリスト 柴田 充さんが「ポルシェ・デザイン」の『クロノグラフ 1 – ホディンキー2024エディション』を選びました! 70年代の優れたプロダクトデザインを受け継ぎ、ハンドルが似合う真っ黒クロノグラフの決定版です。 腕時計のプロが選ぶ「一本取られました!」
選者:時計ジャーナリスト 柴田 充/ポルシェ・デザインの名作クロノグラフが限定で蘇った
ポルシェ・デザインは、1972年にポルシェ創業者の孫で名車911のチーフデザイナーを務めたF.A.ポルシェが創設したデザインハウスです。その手腕をプロダクトデザインに振るい、世界で初めてケースからブレスレットまでオールブラックに仕上げたクロノグラフは911のメーターを想起させ、時計界にポルシェ・デザインの名を知らしめました。
復刻モデルはこのオリジナルをほぼ忠実に再現する一方、素材をSSから軽量なチタンに変え、インデックスもヴィンテージテイストに仕上げます。精緻な計器を思わせる渋いマットブラックの機能美は、アクティブなオヤジの知性を演出し、ヴィンテージポルシェのオーナー気分にも浸れます。
「70年代を代表するプロダクトデザインのマスターピースを手にする喜びが味わえる」(柴田)
初代オリジナルは、当初ポルシェ購入時のギフトや社内のインセンティブとして作られましたが、愛好家の熱狂的な要望から市販されるようになりました。ポルシェファンを虜にした理由は911と同様にタイムレスな魅力であり、復刻モデルも70年代当時の雰囲気そのままに中身は現代の技術を注ぎます。 クルマではレストモッドが人気を集めており、まさに時計のレストモッドといえるでしょう。この時計を手にすると、かつて抱いたワクワクする気持ちが蘇ります。それはけっして過去のノスタルジーではなく、歳を重ねても変わらず思い描くことのできる未来への憧憬に他なりません。 優れたデザインは色褪せることなく、むしろ時に磨かれ、真価を増していく。あらためてそれを実感するとともに、時計としてだけでなく、70年代を代表するプロダクトデザインのマスターピースを手にする喜びも味わえるのです。
● 柴田 充(しばた・みつる)
ライター。コピーライター、出版社編集を経て、フリーランスに。現在は時計、ファッション、クルマ、デザインなどのジャンルを中心に広告制作やメンズライフスタイル誌に執筆中。空冷911や70sバイクを愛用するがこの夏は酷暑でほとんど乗れず。
文/柴田 充 編集/岸澤美希(Web LEON)