修明高生徒、棚倉の企業魅力発信 PR動画制作、若者の就職支援
修明高の生徒が福島県棚倉町商工会と協力して企業のPR動画を制作、動画投稿サイトなどで発信する活動に乗り出している。高校生が取材を通して感じた企業の魅力を町内外に広め、若者の地元への就職につなげることが狙いだ。人手不足が続く事業者からは「会社を知ってもらうきっかけになった」「PRの参考になった」などの声が聞かれ、今後もニーズは高まりそうだ。
「この会社の良いところは何ですか」。棚倉町の測量設計業藤建技術設計センターで、修明高3年の岡田胡桃(くるみ)さん(18)が社員に問いかけた。この日は岡田さんら生徒4人が同社で社員のインタビューや、業務で使うドローンが飛び立つ場面などを撮影した。 高校生が取材を通して感じた企業の強みを前面に押し出した動画作りが特徴だ。同社の動画は「社員同士の仲が良い」「女性の働き方を尊重する」などのアピールポイントを、インタビュー形式などで伝えている。撮影した動画は、3~5分ほどの長さに編集。町商工会のユーチューブチャンネルや企業の交流サイト(SNS)などで活用する。3年の薄井菜摘さん(17)は「企業の要望に合わせて商品の宣伝や企業方針などを分かりやすく編集している」と語る。 制作の背景には若い世代の人口流出がある。町商工会によると、2019年の15~19歳の人口は719人だったのに対し、5年後の24年の20~24歳世代は468人となっており、約3割が町外に流出した計算になる。企業の人手不足が続く状況を打破する一手としようと、修明高と町商工会内の「たなぐら商工業魅力発信実行委員会」が手を組み、県のサポート事業を受けておととしから動画制作を実施。委員会メンバーが企業との仲介や動画掲載などを担う。 映像制作会社などの協力で、24年は町内の3社のPR動画をそれぞれ4本ずつ制作した。藤建技術設計センターの社長青砥利一さん(66)によると、同社では慢性的に人手不足の状況が続いているといい「若い人が作った動画で、同じ世代の人に興味を持ってもらえればうれしい」と期待する。 2年前にPR動画を作成した棚倉町の藤田建設工業は、企業説明会で流すなどして活用している。同社の担当者は「地元の高校生に会社のことを知ってもらうきっかけになった。若者目線の動画が今後のPRの参考にもなっている」と喜ぶ。 同校や町商工会は今後も動画制作を続けていく考えだ。村越誠町商工会長は「一人でも多くの地元企業への就職につながってほしい」と願いを込めた。(伊藤大樹)
福島民友新聞