AI時代に「もはや必須」のデータ活用、理想的組織の「作り方」をガートナーが解説
組織運営「2つ」の手法とは
さらに、D&A組織の運営法自体が変わりつつあることも、留意する必要がある。 従来、D&Aに関する施策は、一般的にD&A組織が一手に引き受け、技術的な一貫性や拡張性を担保してきた。このアプローチを「中央集権型」とすれば、D&Aに関する権限と責任を現場に委譲し現場主体でD&Aを実施する「非中央集権型」が近年になり広がりつつあるという。 「双方のアプローチともに良し悪しがあり、どちらが優れているという話ではありません。非中央集権型はデータに精通した現場による直接の作業での成果の大きさや俊敏性が期待されますが、一方で技術的な堅牢性は削がれてしまいがちです。双方のバランスをどう取るかの問題であり、現状は両者のハイブリット化がトレンドです」(ギャバード氏) 2つアプローチのバランスを取る手法としてギャバード氏が推奨するのが、複数のD&Aバージョンの確立である。 各D&A組織で負える責任の大きさを元に、たとえば「グローバル(本社)」、「リージョン」、「ローカル」の各バージョンで扱えるデータを定め、分析範囲を決定する。経営と現場が欲するD&Aは当然異なり、バージョンごとのD&Aの実施内容の切り分けはリスク管理の観点からも合理的だとギャバード氏は話す。
なぜ「可視化」が重要なのか
中央集権型と非中央集権のいずれの手法を採用するにしても、D&A組織の見直しにあたっては、組織内でのコミュニケーションの流れや業務の依存性などの可視化が重要になる。それを欠いては、データ基盤の設計方針の変更などが生じた際での少なからぬ混乱は避けられないという。 一般に中央集権型の場合には、チームは分析作業を担う「アナリティクスとBI」、「データ管理」、それらのチームを支援する「サポート・サービス」の3つに分類され、各チームのコミュニケーションにより分析のためのデータや環境の整備の方針が決定される。その上で、たとえば「データ管理」には「データエンジニアリング」や「データガバナンス」などのチームが所属し、日々の業務を行い、進捗や結果などをCDAOにレポートする。 対して、非中央集権型では、本社組織の「グローバル」が各バージョンの能力や要求などを元に、ガバナンスを制御する。D&Aの主体は各バージョンに所属する現場だが、その中で技術的な支援を行い、可能な部分からリージョン側にD&Aを切り出していく、いわゆる「フランチャイズモデル」が現状では一般的だ。